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恋売り。
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恋売り。-3

俺達は、顔写真が載ってるリストを事務所に来た彼女達に見せられ、選ばれる。んで、そのときに隠し撮りした彼女達の写真とリストが俺達の元にくるって寸法だ。
初めての人が絶対に事務所に呼ばれるのは、そのためだ。
「心とは裏腹に、清楚そうな顔だもんなぁ…。」
「なにを!!ただ、純粋に金がほしいだけだろ。」
「まーなー。」
「お前みたいに、目的もなく、ただやってるだけじゃないんだよー。」
「まーなー。」
「なんだよ、ちゃんとしゃべれって!!」
「喋ってんだろ!!」
「生返事しか、してないだろ!!」
「なにもめてんだよ、人の机で。」
振り向くと、そこには長嶋乃乃(ながしまのの)がいた。
ツリ目できりっとした顔をした、かっこいい目の女だ。
「あれ、これ、長嶋の席??わりぃな。どーぞ。」
そう言って、席をどいた。
「…蓮本おまえ、ホストとかやってんの??」
「なんで??」
ちょっとドキっとした。
「なんか、そんな感じがした。」
まぁ、恋売りの雰囲気はホストに似てるかもなぁ。
「男前??」
ごまかしてみた。
「は??」
ちゃんと答えない俺を不審に思ったんだろう、睨んでくる。
「まさか。違うよ。」
嘘じゃないぞ。
「な、な、俺は??ホストっぽい??」
巳耒がすかさず問う。
「あんたはね、なんか馬鹿っぽいから、ないな。」
「しょっく!!」
多分、巳耒は自分の仕事がばれてないか、試したかったんだろうな。
奥でほっとしてる奴の顔が俺には見える。ほんと、裏がこえーよ。
俺は本来の席に戻り、一息つくと、巳耒が後ろから囁いた。
「お前は公私混同しやすいから、気をつけろや。」と。
その言葉に、少しぞわっとした。





今日は曇り。
「ふぁ…。」
今朝早く、仕事の依頼で起こされた俺は、でかい欠伸を押し殺した。
特に用事もないし、引き受けた。
ちなみに、今日は遊園地で仕事だ。カジュアルに服を着こなし、いざ出陣。
電車でかたこと。
「さぁ、て。今日はどんな人だろう。」
今日は緊急だから、携帯に送られてきて。
メールを読むと…。
「ぅえぃ!!」
思わず叫んだ。
電車内で。オッサンは睨みつけてくる。
でも、全っ然構わない。
「長嶋…乃乃…。」
こっちの方がしんどい。
何で??何で??
何、これ、俺の仕事??
無理!!
「こんにちは。こちらー…。」
「オーナー!!」
即効電話。
「ケーキか??」
「無理っす!!無理っす!!彼女、知り合いです!!」
「もう約束しちゃったんだよねー…。」
ぶつっ。
「え??オーナー??」
ちくしょう。こうなったら、長嶋の弱みを握って、俺の秘密を守ってもらわねば…。
「ふふふ…。やってやるよ。あぁ、やってみせる!!」
独り虚しく心に誓った。


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