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恋売り。
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恋売り。-1

俺は、恋売り。
今日も恋を売ります。



本日も晴天。
今日も袋を右手に、めかし込んで家を出る。
「今日の相手…大手会社のOLで名前は結海(ゆか)かぁ…。」
名前は蓮本 蛍輝。蛍が輝いて、けいき。はすもとけいき。
俺は恋を売る。
「恋人がいたが、浮気現場を発見し、問い詰めたところ『おまえが浮気。』と言われた…痛いなぁ。」
こんな恋で傷好いた彼女達を癒すのが、俺の仕事。
「どうも、ケイキです。結海さん…ですね??」
「あっ!!こんにちは!!今日はよろしくね。」
彼女はそう、にこやかに笑った。
「はい。では、此処ではなんですし、どこかに入りましょう。」
「はい!!」
俺は、彼女達の笑顔が好きだ。だから、この仕事も気に入ってる。
「あの、ケーキって、幾つ??」
「え??ああ、年ですか??幾つに見えます??」
「2…1かな??」
「じゃぁ、それぐらいで。」
特上のスマイルをつけて言った。
「なにそれー!!」
この俺の笑顔を前に、女は文句を言ったことが無い。
しかも、この笑顔でたいていの女は俺に気を許す。
俺は、高校生。公立の共学な学校だ。年をばらさないのは、ただたんに年下と言うことだけで見下されたりされるのがいやだからだ。ただそれだけ。
「でね、今は会社でー。」
主な仕事は、女の子の話を聞いてあげること。ホストとは違う。ホストを侮辱するつもりはないが、ホストよりは女の子が自由な選択が出来るといえよう。高い酒は注がせないし、金で俺達、恋売りの実力は計られない。なにで計られる、と聞かれても困るところなんだけど。
彼女から、ふぅ、とため息が出た。
「どこか…買い物でも行きますか??」
何がしたいかは、前もって伝えられるので、わかる。
ぱぁ、と彼女の顔がほころんだ。
「うん!!」
「じゃぁ、払ってきますね。」
そういって、伝票を持ってレジに向かった。
会計はこっちが持つ。と、言っても料金は先払いされている。何がしたいかによって彼女達は料金を払う。そして、その金額の半分、つまり全体の1/3と、残った金額が俺達恋売りの取り分になる。それなりのメリットはある。
「わぁ、男の人と買い物なんて、久々ぁ!!」
そう微笑む彼女は可愛らしかった。
「どこから回ります??」
「ねぇ、ケーキ、なんで敬語なの??」
「お姫様には、敬いをもって接しなければいけませんから。」
我ながら、よく言えたクサイ台詞。と、得意のスマイル。
少し、彼女ははにかんだ。
「うーん…、嬉しいけど、タメ語にしてほしいなぁ。親近感わくし…。」
「うん。あなたがそう言うなら。」
「あと、私のことはちゃんと結海って呼んで!!」
「結海。」とスマイル。
「も、なんか恥ずかしいじゃん!!」
「もっと言う??」
「ばかぁ!!」
ははっ、と彼女の頭を撫でた。
「そういえばさ、ケーキって、お菓子のケーキからとったの??」
「そうだよ、母親がケーキ好きで。」
これは嘘じゃない。母親が妙にお菓子、特にケーキが好きなためこの名前になった。
それに、嘘をつくのはあまり好きじゃないし、ここで本名がケーキ、とわかっても、俺を高校生だと思ってない彼女達に見つけられはしない。


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