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プリンセスゲーム
【ファンタジー 官能小説】

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プリンセス・ゲーム-5

サージの決心がつかず、逃げようと言われた時は渡りに船でした。
でも、この激しく揺れる船には耐えられません。
なんとか侍女としての威厳を保ちながら、船縁から顔を外に出す方法を考えていました。
内陸の国です、こんな訓練が必要だとは、魔術院も警護隊も思っていなかったようです。
目が回って威厳なんかどうでもいいと思いかけたころ、船が浜辺へ着きました。
ひざまで濡らしながら船を飛び降りました。ヒールが砂に食い込んでこけそうになり、手をついてしまいます。どれだけ濡れようが気にせず上陸しました。
「これでは城まで行けそうにありません」わたくしは白い顔をしてフラついていました。
「このへんで泊まればいいじゃない」
「お金がもうないのです。あわてて出てきたので、あまり持っていなかったのです」
これは失態でしたが、普段、何をしても現金のいる事なんかそんなにありません。
「もう少しお待ちください。どこかで借りてまいります」
「借りると言ったって、身分を明かすわけにいかないんだよ」
「大丈夫、工面してきますわ」何とか立ち上がって、ひざの砂をはらいます。ずり上がったスカートを直していると、
「何をする気」
「何もしません。馬車が来ましたわ」 わたくしは慌てて荷馬車を止めると、馬にけられそうになってしまいました。
「お嬢さん大丈夫かい」御者が慌てて言います。
そこで、何とかエリ城の近くまで乗せてもらえるように話をつけました。
サージは荷車に飛び乗りました。わたくしも這いあがります。
二人並んで木枠にもたれて、馬車にゆられます。
「何をするつもりだったの、教えて」サージがわたくしの手を持ちます。「まさか、体を?」
「そんなこと知りたいのですか。 ほとんどの男性とすることなんか、女性とより少ないのですよ」
「どうして」
「それはね、男性のほとんどの感覚が一点に集まっているからです」
「ここ?」手をわたくしの股に押しつけました。
「本当はきちんと導いてあげれば、いっぱいありますよ。でも男の方はそれを知る前に、もっと大きな喜びの方へ行ってしまいます」
「でも、病気をうつされるかもしれないし。そうしたら私のそばにはいられないんだよ」
「そうですね。考えが足りませんでした」
「それに、おまえは男が苦手だろ」ささやいて、手を握ってくれます。
「大丈夫でございます。仕事ですから」あったかい手を握り返します。
「そんなのおまえがするべき仕事じゃない。惑わせてやればいいんだ、やったふりをして金だけいただくの」サージはちょっと怒っているようです。本当にそんな風に思うような子ではありません。
「それでは詐欺になってしまいます。喜びの対価としてお金をいただくのですよ」
「惑わしでも喜ぶんだろ。私と同じじゃない。今や王家は何もしていない、なのに豪勢に暮らしている。おまえはこれを詐欺と言わないのか」
「いいえ、王家は国の象徴、統一の礎なのです。この国が、この国である事の証が惑わしであってはなりません。それに王家の収入は主に地権料と投資です。それに対する税金も納めています」
「おまえらしいね」ためいきをつきます。
そうするうちに城の近くまでやってきました。
御者にお礼を言って、最後は歩きます。
体力がないわけではありません。ただ、サージにわたくしの持久力のすべてを見せてしまうと、あの子は自分が限界まで動いてしまうのです。それでは緊急のときに、余裕がなくなってしまいます。
でも今回だけは「暑いですね」と言いながら、冷や汗を拭きます。馬車の揺れは船よりはましでしたが、船酔いを治す役には立ちませんでした。


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