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インクブス・ゲーム 
【ファンタジー 官能小説】

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インクブス・ゲーム-9

「何もしないよ」何枚かベストショットを手に入れると、さっさと出ていった。
ちょっと遊べたが、これ以上の時間をかける気はない。
アミは正気に戻ったら、あそこを拭いた後、今のひと時の記憶も夢として拭い去るだろう。
俺と交わった者は皆そうなる。そして突然の妊娠に驚くのだ。
白昼夢、初めての経験だった。今まで俺は夜中に忍び寄り、夢として入り込む、闇に紛れて生きる者だった。
しかしこれで証明された。もう闇である必要はないのだ。蛾は蝶に変わったのだ。
『あなたは蛾。女という明かりに吸い寄せられては、満たされることなく闇に散る』サヤが笑う。
≪まだ笑うのか。くそっ、もうそんなことは言わせない≫ 途中で厨房に寄ると、テーブルのかごからスグリをわしづかみにする。
口に放り込み、のこりは壁にたたきつけて部屋を出た。鋭い酸味で気を奮い立たせた。俺にはまだ残されたものがある。マネージャーだ。
休憩用に用意した部屋にメイク嬢が座っていた。
女は身をよせてきて、「遅いわ。あのバカ娘は?」
「トイレだろうよ」
「してやったの」
「ああ、ひどいめにあったようだよ」
「あの、清純そうな子が?」
「そうだ。君の願いどおりにしてやったよ」
「教えてよ。どうだった」
「たいして遊べなかった」尻にさわってやった。
バカ笑いをして、「かわいそう。じゃあやっぱり私が慰めてあげないといけないわね」俺の股に手を持ってきた。
≪まるで酔っ払いの娼婦だ≫ 放り出そうかとも思ったが、「そんなにしたいのか」
「あなたが悪いのよ。途中でやめてしまうんですもの」
「では、さっきのように自分で慰めていろ。ゆっくりやるんだ。私の呪いが消え去るにはまだ時間が必要なようだ。後で来るよ」暗示をかけてやる。
「絶対よ」
≪だれかが帰ってきて止めてくれるまで、しっかりと楽しめ≫
こんなことをしたのも初めてだ。いつもはそれぞれが自分の夢として、行為をおぼろげに感じさせるだけなのだ。
≪どうせここにいるのはもうわずか、好きにするさ≫ 自分で体をなぐさめる女を眺めた。
≪つまらない≫ それがすべてだった。いくらこんなやつらをものにしても楽しくはない。その時だけの、勝の分かったゲームなのだ。
こちらになびかせてしまえば、あとはただの作業。何のゲーム性も達成感もなく、面白味もなかった
『満たされることなく闇に散る』サヤの笑いが聞こえる。
≪アミは面白かったぞ≫ しかし、それも仕上がるまでのことだった。
ヒカリの寝る部屋に行った。
部屋はカーテンが下りて薄暗く、寝息だけがかすかに聞こえていた。
俺はゆっくりベッドの端に座る。
ヒカリは足元にパンプスを脱ぎ捨てて、体の上には何もかけずに寝入っている。
カーディガンと妙なサングラスを外したせいで、本当の美しさが見えている。きっとセンスがないのではなくて、群がる男を寄せ付けないためのガードなんだろう。
「俺はもう蝶だ。陽のもとでもできるぞ」カーテンを開けた。光がすべてをはっきりと見せる。
ヒカリは片腕をあげて枕の下に入れて寝ている。軽くソバージュのかかったセミロングの黒髪、薄く褐色の肌。
ノースリーブの脇からベージュのブラが少しのぞいている。


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