投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

精神科医佐伯幸介のカルテ
【女性向け 官能小説】

精神科医佐伯幸介のカルテの最初へ 精神科医佐伯幸介のカルテ 19 精神科医佐伯幸介のカルテ 21 精神科医佐伯幸介のカルテの最後へ

カルテ1の2 藤堂倫 27歳 新聞記者-1

幸介との熱い情事から3週間が過ぎようとしている。。
幸介からの連絡はない。
どうして、再開の約束をしなかったのか。
ひどく後悔していた。


カルテ1の2 藤堂倫(とうどうりん)27才独身 新聞記者

【幸介の卒論】
 心を塗り固めた漆にひびが入り、僅かでも外光の影響を受けると、心は振動し始める。振動は押し固めた欲望に共鳴を起こし、その結果大脳が制御する自我が破壊し、時として肉体にまで変化をもたらす。
 
 
幸介と身体を重ねた翌日、一方的に婚約解消を黒木に告げた。
もう黒木とはやっていくことはできないと思った。
きっと好きになれないと思った。

いつものようにランチをいっしょにしているときのことだった。
フォークに手を伸ばさない倫に、黒木も何か感じたのか無言でパスタを食べ続けた。
食べ終え、コーヒーをかき混ぜながら、ようやく黒木が話しかけた。
「この前は、すまなかった」
始めてホテルへ誘ったときのことを詫びている。
「黒木さん、あなたとやっていけない」
その日最初に口にした言葉だった。
恐ろしい顔で詰め寄ろうとする黒木だったが、あの晩の倫の笑顔が愛情ではなかったことに気付くとそれ以上は何も言わなかった。

倫はそれで事が済んだと思っている。
それよりも、これから始まろうとしている幸介との人生に胸踊り、倫の冷静な思考回路が麻痺していたのかもしれない。
そんな自分がおかしかった。
黒木を残し席を立った後、倫は考えた。
どうして幸介に会ったのだろうと。
それは単に肉体の欲を解消するためだったはずだ。
たった一度のことになるはずだった。
だが、欲望が解消されるどころか、毎晩幸介を、喉に受けた熱い精を、子宮に感じた熱い塊りを思い出す。
その度に下腹部は火照り、熱い愛液が滲み出す。
だから毎夜のように自分を慰めた。
瞳をとじて幸介の抱擁を思い出しながら慰めた。
幸介のするように自分を焦らす。
左手の指を乳房に持って行くが先端には触らない。
右手を股間に運ぶのだが、敏感な突起に触れたいのを我慢する。
10分も20分もその状態を続けてみる。
どうしようもなくなるまで続けてみる。

しとどに溢れてくる。
でも入り口を触るだけ。
もうだめ、もう我慢できない・・・と思ってから5分我慢する。
そして、「もうだめ、幸介さん我慢できない」と叫びながら、欲していた部分を愛/撫した。
そうすれば、瞬く間に達することができた。
しかも深く。
潮のように溢れた愛液がシーツを汚し、毎日洗濯した。
嫌悪感を抱いていたはずの自/慰だが、幸介を思うと止められなかった。
 
はじめの1週間は、心躍る毎日だった。
幸介以上の男性がいるとは思えない。
倫に深い快楽を与えてくれる。
身体だけでなく心まで奪ってくれる。
ようやくめぐり合えた理想の男性だった。
運命に感謝した。
あの何万といるサイト利用者の中からどうして彼を見つけられたのかしら。
これから私の人生にどう関わっていくのかしら。
また逢えると思うと仕事も楽しくて仕方がない。
毎日が晴れていた。
  
次の1週間は、心騒ぐ毎日だ。
どうして連絡くれないの?
連絡するよって言ったじゃない。
もしかして私だけが運命だって思っていたの?
泣きたくなるような毎日だ。
そわそわする毎日だ。
同僚の話しもうわの空で聞いた。
上司に何度も注意された。
真夏の刺すような日差しが煩わしい。
毎日の仕事が煩わしい。
今まで培ってきた教養が哲学がなんの役にも立たなかった。
恋愛なんて勘違い。
脳内麻薬のせいなんだと、知ってはいても慰めにはならなかった。
 
2週間待ったが幸介からの連絡はない。


精神科医佐伯幸介のカルテの最初へ 精神科医佐伯幸介のカルテ 19 精神科医佐伯幸介のカルテ 21 精神科医佐伯幸介のカルテの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前