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【学園物 恋愛小説】

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想[13]-2

鋼吾はきっと、自分だけ名前で呼んでもらえないことを気にしてたんだ。私、暁寿って名前で呼んでたもんね。でも、これでまた一つ鋼吾のこと分かった。
きっと、まだまだ私の知らない鋼吾がいるんだろうな。私は、もっと見つけていくよ!
いろんなこと経験して、いっぱい話して、たくさん想い合って、そして…。
「ゆっくり大人になってこうね」
「ん?」
「早く食べないと、私が目玉焼き盗っちゃうよ?」
「ダメダメダメ!」
また見つけた。実は子供っぽいところ…!


「ご馳走様でした」
そう言いながら、ドアを開ける。
その瞬間、春の陽射しの香りがホワンと流れていった。綺麗に澄み渡る青い空を見上げ、すうっと深呼吸してから外へ出る。
私は何歩か歩いて、隣に鋼吾がいないことに気付き、ハッとした。キョロキョロと見渡していると、店のドアの真前で一心に上を見て、店から出ようとしている人を塞いでいる鋼吾を見つけた。
「何やってんの!?後ろの人の邪魔になってるよっ」
私は立ち尽くしていた鋼吾の腕を引っ張って横に退かすと、「すみません」と二人でお客さんに謝り、羞恥心からか無意識に店から離れるため、早足で歩き出した。
歩きながら鋼吾は
「何してたの」
いやいや、こっちの台詞ですけど!!
「逆に聞くけど、何してたの?お客さんの邪魔になってたじゃん」
「俺は主里のこともっと知りたいから真似してみたんだけど」
「真似?」
「主里は、よく空見てんじゃん。いつも何見てんの?」
…なんだ、鋼吾も私と同じこと考えてたんだ。私も、自分のことたくさん教えていかなきゃいけないんだね。
「別に何か見てるわけじゃないよ?ただ、空の表情と空気の香りが、私はスキなの」
「へぇー、そうだったんだ。俺、ずっと気になってたから」
「ずっと?」
「ずっと見てたから…」
私は、顔が赤くなるのが自分でも分かった。鋼吾はたまに、可愛い笑顔から大人っぽい表情になる時がある。その度に私はドキドキしてしまう。
私の手をゆっくりと、大きな手のひらが包む。
やっぱりドキドキして、まだまだ子供だなと、心の片隅で思った。


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