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ひとすじのワナ
【痴漢/痴女 官能小説】

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触れられる女、になれた私-2

 2年になって間もなく、そんな私に弟以外の男が近寄るようになった。

 誰かは知らない。私より少し背は低いけど、二十代とおぼしき男だ。うらすとは比べものにならないけど、まあいい顔した男だ。

 その男、私が学校帰りに寄り道する書店のある、商業施設の中でばったり出会う。
 出会うと、当たり前みたいに私の胸をつかむ。
 堂々と真正面から胸をつかむ。
 まわりに多少ひとがいても、ためらうことなくつかむ。

 たいてい本をいろいろ眺めたあとなので、ボーッとしてる私だから、気がついたらその男に胸をつかまれてる。
 「あ」と思って見あげると、その男がジッと私の顔を見つめて胸をつかんでる。その男はそくざに去っていく。

 ひとりになってしばらくすると、私は自分の胸に残るその男の指のチカラの跡を感じる。
 (私の胸、触られただけでこんなにくすぐったくなるんだ……)それは私にいつも接している、うらすも感じさせてくれたことがなかった。
 (まあ、うらすにとって私の胸は『触っちゃいけない秘密のところ』なんだけど……)

 何よりも私が胸をドキドキさせるのは、その男が真正面から私の顔を見つめてること。
 「『胸』だけじゃない……『私の胸』を触ってるんだ。あの男……」

   ━─

 夏の制服になってしばらくしてからだった。
 涼しい商業施設の中に集まるひとが多くなったこともあってか、私はしばらくあの人に胸をつかまれることがなかった。

 (いや、別に触られたいワケじゃないから……)自分にそんなこと言い聞かせながら、商業施設を出ようとした。
 扉と扉のあいだの、冷房のないエリアを通り抜けていた時「え?」私は手を強くひっぱられて「通行できません」のロープにさえぎられた通路の角に引きこまれた。

 「……!」私をそこに引きこんだのは、あの人だった。

 

 
 
 


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