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『真夏の遊戯』
【学園物 官能小説】

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『真夏の遊戯 side:B』-3

「あのね…、一緒にペア組んでたコがね…、あたしのこと…ずっと好きだったって…ゆったの」
「ほ、ほう」
「でも、全然ぴんとこなくて…。びっくりして戸惑ってたら…」
手に力がこもるのがわかる。
「キス…されちゃった…」
「なにぃ!?どどどどこのどいつだ、そいつわ!?」
まるで父親の心境だぜ。
葵のことも考えないで勝手にキスしやがって…。
だが、葵はそれには答えず、
「キスされた時ね…、神楽ちゃんの顔が浮かんだの。どうしてかな?」
などど問い掛けやがった。
「そんな状況でも思い出すくらい俺の顔は面白いか?」
「ちがうよー」
そのときふっと思い出した。
ガキの頃、近所の友達と俺のウチでかくれんぼしていて、葵と二人で押入れの中に隠れていた時だ。
真っ暗い中で葵が怯えるので寄り添っていた。
そン時、触れ合っちまったんだよな…、唇と、唇が…。
キスの意味なんかよく知らない頃だったけどな、触れ合った唇が妙に気持ちよかったのを覚えている。
「あの時に戻れたら、あたし、きっと男の人と普通に接することできると思う…」
まさか葵も同じコトを考えて…?
「でもあの人のキスじゃだめだったんだ。あたし…」
身体をこっちに傾けて、じっと俺を見てる。
やめれ…、きんちょーしてきた…。
ピト、と身体が触れる。
寄り添う葵の身体。
肩に髪が触れた。葵の…サラサラの髪。
「なんか…、似てるよね。あの時と」
「そ、そうか…?」
と言った後ではっとした。
しまった!とぼけてりゃよかったんだ。
展開的にコレは…。
ち、ら。
葵の柔和な笑み。
暗がりの中でも映えて見える。
いかーん、なんだこのドキドキは…。
「あの時と…、同じようにしてみて…、お願い」
お、同じじゃない!
ガキの頃と違ってこんなドキドキしてるし、何よりキスの意義を知っている今となっては、それだけでは留まらないような気がするし、なんたって発情期だし、ち○こは立派に勃つし…。
「な、にいってんだ…、ばかやろ…」
なおも葵は身体を近づけてくる。
「神楽ちゃんじゃなきゃ…ヤダ…」
顔を赤らめながらも、真剣なまなざしで俺をまっすぐに見る。
黒目がちの大きな瞳…。
そうだ…、俺、昔からこの目に弱かった…。こんなふうに見つめられてお願いされると断れなかったんだよなー…。
甘い誘いにくらくらしそうだ…。
そう、あの時と違って、葵の身体だって発達してんだ…。
幼児体型の裸しか見覚えはないけど、たわわに実ったオッパイとか、膨らんだ丸いケツだとかがあって…、かーちゃん同士の会話で耳にした、「葵も生理がきてね」って…。
もうオンナの身体なんだよ、お前は。
なにより…、いつのまにこんなにキレイになったんだ?!
妹分としか見てなかったけど、今はっきり公言する。お前を俺は立派に成長した一人のオンナとして意識している!!
そんな俺がお前に手を出してしまったら、せっかく踏み出した勇気をダメにしそうな気がするンだよ…。
それを露とも知らず、迫ってきやがって…。
「だ…めだって、葵…。俺、お前に酷いコトするぞ…」
「神楽ちゃん…」
「俺だって男だし…、本質はあの変質者とかわんねーんだよ…。ただコトを起こすか起こさないかの差だけで…」
クソ!俺も…あの変質者と、無理矢理キスしたヤツと同じなのかよ…。
違うと否定したい。
「ごめんね、神楽ちゃん…。苦しめちゃったみたい…。ただね…、あたし、神楽ちゃんだけでいいってほんとに思ったの。あたしの中で男の人とかってそーゆー枠をとりはらって、わかってくれる人が神楽ちゃんだから…」
ゆっくりと、身体を引くのがわかった。
チクショウ!
俺は、俺の勝手な欲望に溺れてるだけじゃねーか…。
気持ちが先走って…、葵の気持ちも汲み取れなくて何が長年の幼馴染だ…。
「葵」
意を決して離れる葵の肩をつかんだ。
俺にしかできないこと。
「神楽ちゃん…」
唇を押し付けていた。
乱暴なキスだったに違いない。
それでも葵は拒まなかった。
そして、身体を離して向かい合う形になった。
葵の両肩をつかんで言った。


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