片思いを暴かれて-2
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「洗い物、大丈夫ですか?」
時刻は二十三時半頃だった。
朝美は終電があるからと帰ったが、秀次がソファーで寝てしまったので、金治は帰りそびれてしまった。
金治の声に、洗い物をしながら真由美が振り向く。
「うん、大丈夫。今日は来てくれてありがとう」
その笑顔に、金治は真由美の体を抱きしめたくなった。
抱きしめて、後ろから胸を揉みしだいて、唇に触れて。
抵抗する彼女を無理やり自分のモノにしてしまいたい、そんな感情が一瞬のうちに自分の脳内を支配する。
(ーーなに、考えてんだ!)
「しゅ、秀次起こしますね。まだ終電あるんですが、あの感じだと電車で寝ちゃいそうだから…駅まで行って、タクシーで一緒に帰ります」
「わかった、ありがとう」
金治は自分の中を支配した感情を打ち消そうと、秀次に声をかけた。
「田中さん、帰っちゃったぞ。俺らも帰るよ」
ソファーに近づいて、眠っている秀次をゆさゆさと起こす。
「ん…カネ…? んん…わかったぁ…」
ぼそぼそと金治の名前を呟き、ゆっくりと秀次は体を起こした。
「小菅くん、起きた?洗面所にマウスウオッシュあるから使っていいよ。これお水ね」
金治の真後ろに、真由美が立っていた。真由美はテーブルの上に、水の入ったグラスを置く。
ふわり、と香った真由美の匂いに、金治が打ち消そうとした先程の感情がまた、現れそうになる。
「時任先輩、あざまーっす」
そう言うと、のそのそと秀次は洗面所の方に歩き出した。
秀次と入れ替わりで、金治も用を足しに洗面所の方に向かった。トイレでグレーのジョガーパンツと下着を同時に下ろす。
(なん、とか…大丈夫そう…高校生かよ…)
勃起はしていなかった。胸を撫で下ろし、洗面所で手を洗っていると「きゃっ」と短い悲鳴が聞こえた気がした。
「先輩?秀次?」
洗面所のドアを開けるとすぐが、先程みんなが宴会をしていたリビングになっている。
ーーー異様な光景を金治は見てしまった。