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恋心
【学園物 恋愛小説】

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恋心 最終章-1

「桜ちゃ〜ん♪」
おっ、来た来た…
毎朝やってくるアイツ。そう、川上龍太。必ずハイテンションでやってきては一人で喋り続け、5分も経たずに去って行く。

「じゃあまた来るよ」

なんだか日課のようになってきた。友里は聡くんと一緒におもしろがって私達のことを見ている。
「なんとかしてよ。聡くん同じクラスなんでしょ?しかも同じサッカー部なんだし」

「そうとう気に入られてるね(笑)たった5分話聞いてるだけなんだから付き合ってやってよ」
聡くんはそう言いながら笑っている。まったく他人事だと思って。

「よく飽きずに来るよね。近くで見てるとおもしろいよ。桜は寝てるんじゃないかっていうくらい一言も話さないのに、龍太くんすごく嬉しそうなんだもん。桜のことホント好きなんだね」

「そうだよ。少しは話してやってよ。いくらなんでもあれじゃかわいそうだ。それに、あれでも結構モテるんだぜ。ウチのマネージャーのほとんどがアイツ狙いだと思うよ。付き合おうと思えば付き合える相手がまわりにゴロゴロいるのに誰とも付き合わないのは、桜ちゃんのことがよっぽどスキな証拠だろ?」



放課後〜
二人の言っていたことを思い出しながら学校を出る。少しは話し相手になってあげたほうがいいのかな。あんな態度じゃ傷つくよね…


『あの人でしょ、A組の立川桜って。言われてみればそんな感じするよね』『それにしてもよくやるよね、あんなこと』『オレ桜ちゃんだったら…♪』『でも性病もってるらしいよ』『だから彼氏いないんだ?』

私に聞こえるようにわざと大きな声で話している。

なにあれ…
ありもしないことをペラペラと…


「お前ら何?よくそんなこと言えるよな。こいつの事何も知らないくせにあーだこーだ言ってんじゃねぇよ」
そう言って来たのはもちろん"アイツ"。さっきまでざわついていたのが一気に静まった。
「それから…こいつはオレの彼女だから。二度と近付くな」
そう言い残して私の手を繋いで歩きだした。後ろではさっきの人達が騒いでいる。


「ねぇ、なんであんな嘘ついたの?彼氏でもなんでもないくせに…また私の変な噂に巻き込まれるよ?それにあの人達……ちょっと聞いてる?」
「…あのさ、あんなこと言われて悔しくないの?ありもしない噂ばっかりたてられて、そんなの嘘だってなんで言わないんだよ。なんで本当の自分に嘘つくんだよ…」
"アイツ"は私をおいて去っていった。なんでって…噂とか別に気にしてなかったし、本当の友達だけが真実を知っていてくれればいいと思ってた。他人が何を言おうと私は私なわけだし。でも"アイツ"が言ってること分からないわけじゃないよ。自分の嫌な噂聞くと気分が悪いし、腹も立つし、そんなの嘘だって叫びたくなる時だってある。けど…

「あんなに怒らなくてもいいと思わない?」

あの後ぼーっとしながらどうにか家に帰り、友里に電話をかけていた。
「だからぁ、それだけ桜のことがスキなんだよ。好きな人の嫌な噂聞くのってツラいんだよ?私龍太くんの気持ちよく分かるもん。それから…桜は龍太くんのことどう思ってるの?」


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