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恋心
【学園物 恋愛小説】

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恋心 最終章-2

"アイツ"のことどう思ってるか?…そんなの考えたことなかった。ただの友達?いや…友達でもないのかな。私に好意を持ってくれている人の中の一人?毎朝会いに来るうるさいヤツ?
でもそんなに嫌じゃなかったんだよね。話してる時の顔がね、すごく良い顔してて。表情がコロコロ変わってイキイキしてるっていうか…羨ましかったな…。私もあんな風に自分の気持ちを素直に表現できたら、って。



次の日〜

この学校には暇人しかいないの?みんな他にやる事たくさんあるでしょ!!!
私は心の中で叫んだ。昨日の"アイツ"の発言が原因で学校中では大いに盛り上がっていた。密かにファンクラブまであったらしく、その人達の視線が痛いぐらいに私の体に突き刺さっていた。

「桜、おはよう」
友里が聡くんとやって来た。
「ヤツは今日も来るかね?」聡くんが尋ねると、今日は来ないかもね、と友里はあっさりとこたえる。
私も来ないと思う。昨日はすごく怒らせちゃったみたいだし、そのまま別れちゃったし。




「桜ちゃん」
教室のまえにアイツがいた。急に胸が高鳴りだした。締め付けられるようにせつない気持ち。
「今日の放課後時間ある?」
私は黙ったままコクリと頷く。
「5時に図書室で待ってるよ。じゃあ…」
まるで別人のようでいつもの元気はなく、静かな笑顔で私の頭をポンッとなでて行った。
自然と涙が溢れた。理由はよくわかっていた。昨日の夜、友里と話していて気付かされたのだ。友里は私なんかより私の事をよく知っている。


あの後、ずっと彼のことを考えていた。どうして私を呼び出したのか?気になって仕方なかった。まだ付き合ってもいないのに、もう終わりだという言葉が頭をよぎる。
行きたくなかった。でも行かずにはいられない。
放課後、図書室へ向かった。
中に入ってみると彼はまだ来ていないようだった。
まだ10分も前だもん、当たり前だよね…。
窓際の席に座った。グランドでは野球部の声が響く。




「桜ちゃん」

ドキッ

「ごめんね、友達につかまって遅くなっちゃった」
私の隣りの席に座る。
「ううん」
私はそう言って首を横に振った。

「野球部の練習は相変わらずすごいな。まぁ、谷口が顧問じゃ仕方ないか(笑)」
いつもの彼のペースで話しだす。私もいつものように軽く相槌をうちながら彼の話を聞く。いつ本題を切り出すのかと、心の中ではそれが気になっていたのに、そんな気配が全く感じられない。


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