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アイドリング2ndシーズン
【フェチ/マニア 官能小説】

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アイドリング2ndシーズン-3

チャプター3



 夕日が沈み、レンタルショップの看板に明かりが点る頃、友里は更衣室で化粧を直して帰り支度を手短に終える。

「店長、今日はこれで失礼します」

「ああ、ご苦労さん。明日もよろしく頼むよ」

「お疲れさまでした」

 昼間の男性客とのやり取りなどどこ吹く風の友里は、店舗の裏口から外へ出ると、初心者マークを貼った愛車に近づいてバッグの中身をさぐる。

「あっ、鍵がない」

 すぐさま店に戻り、更衣室のロッカーで無事に車の鍵とアパートの鍵を見つけ出す。そうして今度こそ帰宅するために事務所の前を通りかかった時、中から人の話し声が聞こえてきたので足を止めた。

 店長と、バイト仲間の藤崎という男の子が、画質が粗いだのカメラのアングルが悪いだのと意見交換している。声の熱量からして、どうやらかなり熱く語り合っているらしい。

 気になった友里は、ドアを開けるなり「何の話をしてるんですか?」と二人の背中に声をかけた。店長と藤崎が、同時にこちらを振り返る。

「あっ」と、まずは店長が。

「わっ」と、次に藤崎が。

「えっ?」と、最後に友里が。

「水越さん、帰ったんじゃなかったの?」

 その場を取り繕うように藤崎が言う。彼は友里と同い年の自称チェリーボーイだ。

 友里は二人にキーホルダーを見せて、忘れ物を取りに来たのだと説明した。すると事務所から楽しそうな話し声がするので、中をのぞいてみたのだ、と付け加えた。

「あっ、それってまさか、エッチなDVDですか?」

 友里は彼らの背後を指差した。休憩用に設置された液晶テレビの画面に、いかがわしい映像が流れている。よく見ると、友里と瓜二つの女の子がトイレの個室で自慰行為に興じているところだった。

「これはまあ、その、あれだ……」

 歯切れの悪い店長と藤崎の両人はわかりやすく冷や汗を垂らし、指摘された映像と友里の顔とを交互に見る。

「これ、あたし?」

 アダルトDVDに出演している女の子のことが、友里にはどうしても他人だとは思えなかった。いや、もしかしたら妹の菜乃羽か、それとも姉の美月か。

 でも、どう見ても友里だった。しかも、この店の女子トイレを隠し撮りした映像だと思われた。

「友里ちゃん、誤解だよ、誤解。これにはいろいろと事情があってね……」

「店長、女子トイレを盗撮するなんて、最低です!」

「だから違うんだよ……」

「違いません。だって、ここに映っているのはあたしなんだもん」

 そこまで言って、友里はようやく重大なミスを犯していることに気づく。店長も、藤崎も、この店のアイドル的存在の友里との距離を徐々に詰めていく。

「水越さん、自分だと認めるんだね? 僕が言うのも何だけど、君はバイト中にトイレで何をしていたんだい?」

 藤崎が、友里の右腕をがっしり掴む。

「仕事をさぼってオナニーしていた、自分でそう言っているようなもんだよ。この映像が動かぬ証拠だからね」

 盗撮の事実を棚に上げた店長が、友里の左腕を捕まえてニヤリと笑う。

「ごめんなさい、謝ります。ごめんなさい、ごめんなさい」

 盗撮被害に遭った友里が、なぜか頭を下げている。この映像をすぐに削除してくれるのなら、盗撮のことは目をつむってあげようと友里は考えていた。

「店長、どうします?」

「藤崎くん、僕に考えがある。ひひひ」

 意味深な笑みを浮かべた二人を見て、友里は嫌な予感をおぼえずにはいられなかった。映像の中の友里は、ちょうどオナニーでイクところだった。


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