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アイドリング2ndシーズン
【フェチ/マニア 官能小説】

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アイドリング2ndシーズン-2

チャプター2



「いらっしゃいませ」

 はつらつとした笑顔でレジに立った友里は、カウンターを挟んだ向かい側の男性客からレンタル商品を受け取り、誰よりも丁寧に業務をこなしていく。

「こちらのDVD、三点でよろしかったでしょうか?」

 友里が型通りに訊くと、いろんな意味で残念な男性客はトンボみたいなメガネを中指で触り、「う、うん」と挙動不審な返事をした。

「かしこまりました。それでは中身の確認をさせていただきます」

 生まれつき天然の友里は自分の手元に視線を落とし、DVDに印字されたタイトルをちらりと認識すると、何を思ったのか、小恥ずかしい気持ちを我慢してそれらを読み上げるのだった。

「淫獄飼育、監禁された女子高生……」

 その、あまりにも不適切な友里の言動に青ざめた男性客は、まさかこんなことになるとは思ってもみなかったのだろう、「何でもないんです」と必死に誤解を解こうとするが、周囲の客から浴びせられる視線は漏れなく冷たい。

「あのう、友里ちゃん?」

「水越さん?」

 そんなふうに店長やバイト仲間から名前や苗字で呼ばれても、のぼせて耳が詰まった友里にはさっぱり聞こえない。

 んっんっ、と色っぽい声で咳払いした後、変に意識しないように注意しながら二枚目の作品タイトルを読み上げる。

「秘密の交姦日記、母の再婚相手に夜な夜な中出しされる私……」

 交姦日記って日本語おかしいと思う、とか、中出しされたら妊娠しちゃうから病院に行かないと大変、とか、まだまだ多感な友里は懲りもせずに最後のDVDを両手でもてあそび、詩を朗読するみたいに声色を操る。

「シリーズ教師と教え子、鬼畜、拷問、引き裂かれたセーラー服……。以上でよろしかったでしょうか?」

 友里が重ね重ねたずねると、もはや燃え尽きたマッチ棒みたいになってしまった男性客は黙ってうなずき、やたらと薄い影法師を引きずりながらとぼとぼと店を出ていくのだった。

「ありがとうございました」

 悪いことをしちゃったかな、と反省しつつ、友里はバイト仲間の男の子にそっと耳打ちする。

「すみません、ちょっと、お手洗いに行ってきます……」

 トイレの場所は、レジカウンターからは死角になっている。

「わかった、ここは任せて」と、彼。

 友里はうつむき加減でその場を離れ、すれ違う客に「いらっしゃいませ」と声をかけながら女子トイレに入り、それから二十分後にようやくレジに戻るのだった。

 指先が少しふやけているのは、手を洗ったせいだけではない。熱を帯びた体の一部が冷めるのを待ちながら、友理は空白の時間を埋めるようにばりばり働いた。


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