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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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お持ち帰りされる人妻 (3)-1

 頭がふわふわ混乱している。

 昔の恋人Fと浮気してしまった帰りの電車の中で、ゆきは後悔とともに隠しようのない気分の高揚を感じていた。股間にはゆきがさきほどまで受け入れていたFのペニスの感触が生々しく残っている。その感触をゆきの身体は覚えていた。十五年も経つのに、ペニスの挿入を許した瞬間、懐かしい圧迫感とともにこの男に服従し若い肉体のすべてを捧げた日々の記憶が蘇ってきたのだ。

 いけないいけない――。
 日常に戻らなくては。今の私は「同僚と飲んで帰宅する妻」。酒臭い口は、だから大丈夫。「残業」と嘘を付くと、久しぶりの元彼との再会で酒がまったく飲めなくなるので、ゆきとしては少し珍しい言い訳を選択した。

 昼間、再会した昨日の今日で、さっそくFからメッセージが来て食事に誘われた。なんとなく気持ちが浮き足立っていたゆきは「食事だけなら大丈夫。浮気にはならないはず」と勝手な解釈で誘いを受けてしまう。ZやGとの浮気を思い出した。あのときもゆきは「お話するだけなら大丈夫。浮気じゃない」と自分に言い訳をして誘いを受けたのだった。決して浮気したかったわけではないが、自分が流されやすい性格だと感じることがある。今回は気をつけよう。十五年ぶりの再会なのだから食事くらいしたって許されるよねと、デート前のゆきは何度も自分に言い聞かせた。

 いけないいけない、またFのことを考えていた――今の私は「同僚と珍しく飲んで帰宅する妻」。
 チェック漏れはない? ホテルを出る前に髪の毛、服装、化粧、キスマークすべて念入りに確認した。Fくんのメッセージも削除完了。あとは帰宅してすぐシャワーを浴びること。もし夫に襲われたらどうする? 最近の夫はシャワー前の私の股間の匂いを嗅いでくることがある。恥ずかしいけど、Zくんとの浮気で穢れた身体を夫が変態的に愛してくれるのが嬉しくて、受け入れてきた。今日に限って拒否するのはちょっと不自然。いちおうホテルでも下半身だけは綺麗にした。石鹸の匂いがしないようにお湯だけで、一日働いたなりの蒸れた匂いが消えすぎても怪しまれる。でもちゃんと洗わないとゴムの匂いがしてしまうかも。加減が難しい。もし襲われたら嗅がれないよう私からフェラして、お口でゴムつけて「ねぇ我慢できない」って甘えて挿入させてしまおう。そうすればアソコからゴムの匂いがしても問題なくなる。
 あ、ポーチのコンドームが減っているのは? たまに夫に数の減りをチェックされているが、たしか三日前Zくんとデートしたあとは見られていない、大丈夫。でも危ないところだった。今度からはZくん用とFくん用のコンドームは別で管理したほうがいい。いやいやなんで私、「次」を考えてるの? また浮気するつもり?

 Fとは繁華街の駅で待ち合わせた。
 お洒落な個室ダイニングに入りまずは再会を祝して乾杯。店内を見渡す。
「相変わらず良いお店知ってるね」
 大げさすぎず高すぎず、それでいて私が大人の女性としてきちんと遇されていることもわかる良いセンスだと思った。個室も植栽やインテリアで緩く区切られているだけで、恋人でない男女でも抵抗なく座れるうえにプライバシーも守られる。昔からTPOに合わせた店選びが得意な男だった。別にゆき自身はどんなお店でも気にしないのだが、ちゃんと考えてくれていることが伝わって嬉しくないわけがない。

 テーブルの角を挟み九十度の位置に並んで座る二人。美味しい料理と酒を楽しみながら、まずは近況報告の続きに花を咲かせた。互いのその後のこと、結婚、出産、子育てのこと、仕事のこと。
 驚いたことにF夫妻は共働きだった。かつてゆきが仕事に打ち込むのを快く思わず、ゆくゆくは専業主婦になってほしいと考えていた男である。
「当時はゴメンな。俺の考えが間違ってたわ」
 ゆきのあとに付き合った相手も自立心の強い女性だったらしい。Fはゆきとのことがあったので慎重に接し、葛藤しつつも、時代の流れもあり考えを改めた。その女性が今のFの妻である。もしゆきと付き合ってなければ同じ過ちをして、妻とは結婚できてなかっただろうなとFは笑った。

 心地よい時間がゆったり流れていく。
 恋人時代の思い出話では少し感傷的な気分になった。険悪な時期もあったが、最後は決して喧嘩別れではなかったのだ。最後のセックスで、別れの寂しさに泣きながら何度もイかされたことを思い出し、下腹部が少しキュンとうずいた。夫とはあれほどすごいセックスはしたことがない。ゆきは夫との営みが嫌いではないし、むしろ心が満たされ幸せを感じられる大切な時間だと思っているが、やはり物理的なサイズ不足と持続力不足はどうしようもない。熱く、太く、硬い男性器で、下半身をぎゅうぎゅうに押し拡げられ、イかされてもイかされても終わらないセックスが恋しくなることはどうしてもある。


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