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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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お持ち帰りされる人妻 (2)-3

 都心の居酒屋でハイボールのジョッキを傾けながら、Zは「それから――」と付け加えた。

「この先ゆきさん、たぶん他の男とも浮気するんじゃないかな……」
 冗談にしても恐ろしいことを言う。ICレコーダーはその監視にも使えると言いたいのか。ゆきはそこまで尻軽じゃないだろうと笑って反論してみるが、「いや、ゆきさんは条件さえ揃えば浮気する人だと思いますよ」と逆に断言されてしまった。
「条件? どんな?」
 妻を侮辱された気がして若干気色ばむが、やけに自信あり気なZの態度も気になる。

「別に特別なことじゃないです。ひとつは旦那さんや彼氏とうまくいっていないこと。もうひとつは男として『アリ』と思える相手に好意を積極的に向けられること。要は心が不安定なときいい男にグイグイ来られると弱いってことですね。普通でしょ?」
「なら大丈夫だ。俺とはうまくいってるぞ」
「そこがOさん夫婦の特殊なところで、旦那さんが文字通り特殊性癖なんでむしろひとつ目の条件が要らなくなっちゃってる」
「う……」
「俺との浮気中も言ってましたよ。『バレてもパパなら許してくれるかもって甘えが正直ある』って」
 Zの動画で見たので知っている。そして私はゆきの目論見どおりZとの浮気を許した。

「でも許されたのは、相手がお前だからこそってことくらいゆきだってわかってるだろう」
 手で転がしていたウイスキーグラスを煽るもすでに空っぽで、溶けた氷水だけがちょろちょろと口に流れ込んできた。
「じゃあOさんはゆきさんが俺じゃなくて……そうですね、例えば職場の上司と浮気しちゃったら許さないってことですか?」
「そ、それはそうだろう……許さない、許すはずないだろ」
 と言いつつ、正直想像するだけで興奮してしまっている。
「ほんと? Oさん今、想像だけで興奮してるでしょ?」
「な……! そ、そんな、まあたしかに……少し興奮はするけど」
「でしょう? そして本気じゃなければ、俺のところに戻ってくるならば、むしろ浮気してきて欲しいなんて思ってるんじゃないですか?」
「うぐぐ……」

 悔しいが反論できない。そのとおりだ。浮気して帰宅したゆきの姿を考えるだけでたまらない気持ちになる。他人に抱かれてきた妻の尻を、腰を撫で回したい。他人棒に貫かれた直後にまた夫のペニスを挿入され、「パパごめんなさい……!」「ゆき、すっごく感じちゃった……!」「パパのこと大好きなのに、ダメな奥さんだよね……ぁあん!」などと可愛く喘がれたら絶対に怒れない。「ゆきー、たまらないよー」などと情けない顔をして許して愛してしまう自信がある。

「……てなことを、ゆきさんも感づいてるんじゃないかな」
「うーん……お、俺が甘いことをいいことに好き放題やるってこと? ゆきらしくない気がするけど」
「もちろんゆきさん自身は自分から積極的に浮気する人じゃないですよ。ただ男の方から寄ってくるでしょ、ゆきさんの場合」
 そうなのだ。ゆきなら男の方からいくらでも寄ってくる。そのときに「夫の存在」が歯止めにならないとすれば? むしろバレても可愛くごめんなさいすれば許される、むしろ喜んでさえくれると、Zの一件で学習してしまっているとしたら――?

「お、男が寄ってくるのはあるとして、で、でもそんな都合よく『いい男』ばかりじゃないだろう」
 反論もだいぶ苦しくなってきた。
「逆ですよ。ゆきさんほどの女性にアタックできるのは、自分に自信があって女性慣れしてて、そこそこ『いい男』だけです」
 余裕しゃくしゃくで私の反論を打ち返してくるZ。たしかにあまりにいい女だと普通の男は気後れするし、実際私の知る限り、ゆきが過去肉体関係を持った男たちは「リア充」ばかりである。私以外は。
「そういう男に誘われて二人きりでいい雰囲気になったとき、Oさんへの『甘え』が出てもおかしくはないんじゃないかなと」

 Gと浮気した「前科」が頭をよぎる。あのときはZのいう二つの条件を見事に満たしていた。「ゆきは浮気する人」だというZの見立てに説得力を感じるし、むしろ他にも浮気してるのではないかとさえ思えてくる。しかも今なら夫が変態のおかげで、条件はたったひとつ満たせばよいのだ。

「もちろんゆきさんは仕事も家庭もある人だし、美人で男にも誘われ慣れてるので『いい男』のハードルは高いですけどね」
「お前、自分はそのハードル超えたって自慢してない?」
「ははは。正直ゆきさんみたいな美人を落とせたのは自慢でしょ」
 ジョッキをぐいと飲み干して同じものを注文するZ。私もついでにウイスキーのロックを頼む。
「でも俺みたいな男は後腐れないから意外と人妻さんにモテるんですよ。セックスのあと面倒が起こって家庭に影響するのを既婚者は一番嫌いますから」
「それはお前と浮気したゆき見てて思ったな」
「しつこく付きまとわず、でも会ってるときはいっぱい愛してあげて恋人になりきって甘えたり甘えさせてあげたり、とにかく都合のいい男に徹すると女にモテますよ? どうですOさんも?」
 俺にそんな器用なことができるわけないだろう。


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