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愛人
【SM 官能小説】

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愛人-12

誰なの……あなたはいったい誰なの……声にならない言葉が咽喉につまった。

おとなしくするんだな。あんたの恋人はあのとおりだ、だれも助けに来やしないぜ。男の低い声とともにわたしの鼻の先に突きつけられた鋭いナイフがわたしの声を封じた。
こんないい女とやらせてもらうのも、久しぶりだぜ。淡い光の中から男のつぶやきが聞こえた。
草むらに仰臥させられたわたしを見下ろすように立ち上がった男の姿……まちがいなくあの男だった。ホテルの廊下ですれちがい、夫人の部屋に入っていった坊主頭の醜い男。彼は突き出た下腹を揺すりながらズボンのファスナーをゆっくり降ろし、脱ぎ捨てた。縞のトランクスの中央の部分が、こんもりと盛り上がっていた。男は、草むらに仰臥させられた私のからだの隅々まで食い入るように凝視し、ごくりと咽喉を鳴らすように唾を飲み込んだ。そしてトランクスをゆっくりと脱いだ。ぬめりをもった男の赤黒い腐った臓腑のようなペニスが薄い灯りの中にぼんやりと浮かんでいる。その肉塊は不気味な生きもののようにそそりたち、小刻みにゆれながら、まるで獲物を探しているように息づいているのがわかった。
助けて……わたしは声を発することができなかった。わたしの口の中で唾液だけが次々と滲み出ては渇いていく。

粘った汁で包まれたような赤黒い亀頭をもたげ始めた奇怪なペニスが、ぬらぬらと淫靡な光沢を放っていた。薄笑いを浮かべた男は、飢えた獣のようにゆっくりとわたしの体に覆い被さった。
男の下半身が割り裂いたわたしの脚のあいだに少しずつ沈んでいく。彼の荒い息とごくりと咽喉が鳴る音が耳元で聞こえた。
一瞬の出来事だった。男の太いペニスの先端がわたしの肉の重ね目をつつき、はねあげた。蛇の鎌首のようにうねるペニスの亀頭が秘裂をねっとりとなぞった。わたしは嗚咽を洩らしながら下半身を烈しく悶えさせた。のしかかった男のねっとりとした体液の異臭が鼻にまとわりつく。脂ぎった顔が、まるで獰猛な獣のように変容しながら、目の前で揺れ動いていた。硬い肉根の先端がぬるりとわたしの秘部の割れ目をとらえ、太く長いものが陰部を引き裂くように深くつらぬいた。その瞬間、わたしの肉襞が弛んだかと思うと、男のペニスはずぶりと内奥に侵入してきた。

…うっ、ううっ…
痛みが襞の表面を走り抜け、男のペニスが烈しく突き刺すように襞の粘膜を刺激する。男は腰をじわりじわりと押しつけ、激しく体を揺すりながら前後に腰の蠕動を始める。わたしの体の上で波打つ男のからだとともに、陰部の襞をねじるように挿入された肉棒が卑猥な音をたて、肉奥を深く突き上げながら穴をえぐっていく。
わたしは後ろ手に手錠をかけられた手首を喘がせ、指を地面の湿った草に絡ませる。津村さんは樹に縛りつけられたままうなだれ、凍りついたような瞳でわたしの姿をじっと見ていた。

見えるだろう、樹に縛りつけたあんたの恋人のおチンチンが。とても悦んでいるじゃねえか、あんたがこうしておれに犯される姿を見て、あんなに堅くみなぎらせて、今にも射精しそうだぜ。
薄笑いを浮かべた男は淫靡に呟いた。
暗いさざ波のような翳りが津村さんの軀をおおっているというのに、彼の下半身に中心にあるものだけが潤んだ光沢を放ち、これまでわたしが触れたことのなかった堅さと大きさと、欲望をむき出しにしていた。わたしに起こっていることが現実なのか夢なのかわからなかった。わたしは叫ぼうとしていた、でもいったい何を叫んでいいのかわからなかった。肉襞だけを収縮させ、犯している男のものを無意識に食い締めていた。そして、子宮の奥深くを烈しく凌辱されることに不思議な恍惚感に深く浸っていった。

…あっ…ああっ…ううっ……
掻き切られた陰部の襞が、粘りつくようにペニスが絡む。そして男の腰が伸びきった瞬間、撥ねるようなペニスから生温かい精液が私の中にほとばしった。その精液は、まるで襞に群がる無数の蟻のように蠢き、私の中の奥深く濃密で身震いするような痛みをともないながらねっとりと注ぎ込まれていったのだった。
男は何度となく私の中で射精した。男の体のなかにある精液が尽き果てるまで、彼は獣のようにわたしの肉洞に飛沫を荒立てた。男が放出した重く澱んだものが私の肉奥に深く滲み入り、体温を吸い取りながら子宮へ流れていった。
そのとき、ふたたび樹木の葉から雫が滴り落ちてきたような気がした、あのときの雫が。わたしの瞼の裏に枝葉からしたたる雫が見えた。月の光と溶け合ったかと思うと、無数のガラスの破片のように飛び散り、その音は森の中に木霊していった。わたしは津村さんに目を向けた。小刻みに下半身をゆがめる彼の太腿に白い樹液が流れていた……。



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