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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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お持ち帰りされる新人OL (2) 流され堕ちて-2

一方で危機感を募らせる冷静な自分もいる。
このままでは価値観の合わぬF、彼氏としては論外のG、二人の男性とずるずると続いてしまう。どこかで立ち止まらなければ。

かつての苦い経験が蘇る。大学入学後の六月に付き合い始めた彼氏Dのことだ。彼とは色々あって次第に付き合いに疑問を感じるようになったのだが、それにもかかわらずだらだらと関係を続けてしまった後悔がある。

Dはサークルの先輩で俗に言うリア充で、女にもモテたが浮気もせずゆきを愛してくれた。カースト最上位層の男に、ゆきは初めて大人のセックスを教えられた。受け身で「なんとなく気持ちいい」程度のセックスしか知らなかったゆきがオーガズムを覚え、フェラチオやクンニやオナニーを通して男女で気持ちを高め合い楽しむことを覚えた。自慢の彼氏に女としての歓びまで与えられ、このころのゆきはまだ幸せだった。
Dの要求はエスカレートしていくが、性に目覚めたゆきは恥ずかしさに耐えながら必死についていく。人には決して言えないようなこともした。ついていけば褒められて、めくるめく快楽が得られるのだ。

元来真面目なゆきの性格がこのときは仇になった。
気がつくとゆきは、背徳と羞恥の興奮に溺れる日々を送っていた。勉強も疎かになり友人も少しずつ去っていく。このままでいいのかという自問をセックスで打ち消す毎日。Dにも相談したが彼もまだ若く、真剣に取り合ってもらえない。
彼は彼であの「ミスK大」に――辞退したが――推されるほどの女と付き合い、あまつさえ女性として成熟していくその身体を蹂躙し、開発し尽くしていく興奮に溺れていたのだ。ゆきのことを愛してはいたが、独りよがりだった。

十二月、ゆきの不安と自己嫌悪、Dへの不信感はついに限界を迎え、ゆきから別れを告げた。失われた時間、友人は戻ってこなかった。
ああなる前になんとかしなければ。流されてはいけない、自分の気持ちを強く持たなければならない。



「自分の気持ち」といえば、Oの存在。

自分は今誰が好きなんだろう? Oに対する気持ちはひょっとして「恋」ではないのか?
今まで恋愛には受け身で、男からのアプローチでしか恋愛したことのないゆきは、実は「恋」というものがよくわかっていない。アプローチしてくる男の中から一番いいと思う男を選ぶだけでよかった。それで十分に魅力的な彼氏と素敵な恋愛ができた。

今だってFもGも十分に男として魅力的。エリートで将来の不安もなさそう。この二人のどちらかと付き合うのは客観的にも悪い選択ではない。Fとは関係が戻りつつあるし、Gとの時間は心地よい。

「あぁダメダメ」
選択肢の中から探してはいけない。そうではない。自分の心に正直になろう。自分はどうしたいのか?
答えはすぐに出た――「私はOくんのことが好き。Oくんと付き合いたい」

自分から「付き合いたい」と思えた、たぶん初めての男。
これまでの彼氏ほどスマートではない、むしろ私の前では挙動不審なことも多い。
同期の女子会でのぶっちゃけトーク「童貞が疑われる同期男子ランキング」で堂々の一位に輝いた。
仕事だって身の程知らずの背伸びし過ぎで失敗も多い。

そんなOだが、しかし少々鈍臭くても前向きで一生懸命、気がついたらやり遂げている。何より周りの人間がそんな彼を応援する雰囲気がある。滑稽な立ち居振る舞いで皆が和んでいるうちに成果を一つひとつ積み重ね、一年目としては異例の、同期の誰も手の届かないところに到達している不思議な男だ。

ゆきは彼の活躍を見るのが我が事のように嬉しかった。
何事もそつなくこなす自分とは正反対でひたすら泥臭いOは、入社早々気になる存在だった。まだ皆が彼を笑って侮っているころから、彼の行動力と小さな成長の積み重ねに密かに気が付き、憧れの目で見つめていた。私の男を見る目は間違っていなかった。ゆきのOへの想いはさらに膨らんだ。

童貞ランキングのときに「でも私は別に気にしないけど……」と控えめにフォローを入れたら冷やかされた。
「え? なになにゆき、彼氏いるのにどういうこと?! 恋?! ゆきちゃん恋してるの?」と囃し立てられネタにされた。全く嫌な気分にならなかった。「うふふ〜、どうだと思いますぅ?」とふざけて悪ノリしたら「けっ、これだよ、モテる女さんは」「美人はこうやって思わせぶりしとけば男の方からコロリだからなー」「さすが歩く女子アナ」「女子アナは歩くだろ」などと毒づかれ頭をバシンと叩かれた。

「でもOくんならコロリされても悔しくないかも」「たしかにー!」「どうぞどうぞって感じ?」女子の本音トークは容赦ない。「でも童貞以外は別に言うほど悪くなくない?」「んー悪くないっていうか普通。平凡。まあ清潔感はあるかな」「仕事は?」「ちょっと危なっかしい感じ」「わかるー。でも憎めなくて可愛いよ」「先輩からは可愛がられてるね」「私、大学も学部も同じだったけど昔からあんな感じ。不器用だけど私は正直いいヤツだと思ってるよ」「へー麗子さまにそう言わせるなんてOくんやるじゃん」「多少バタついても最後はうまいことやっちゃうイメージがあるのよねー」「麗ちゃん、どこ大だっけ?」「T大」「まじー? 高学歴で女っ気のない真面目な童貞くんなんて超優良物件じゃん!」「てか童貞はもう確定かよ」

ゲラゲラ笑う同期女子たち。バカにはしてるが皆Oのことが嫌いではない。ゆきも一緒に笑った。麗ちゃんに大学時代のOのことをもっと聞きたいと思った。


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