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Sweet Fragrance
【青春 恋愛小説】

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Sweet Fragrance3-1

あたしは恋愛上手なはずだった。あたしはもっと自分を認めてたはずだった。すべてがあの子のせい…

あたしは、進藤亜希。2年A組のHR長。そしてあの子…クラスの、ううん学校のアイドル、ゆかりちゃんの友達。

あたしがゆかりちゃんを友達にした理由は簡単だった。かわいいから、モテるから。1年の2学期、ゆかりちゃんには友達がいなかった。とはいってもゆかりちゃんは女の子にも好かれる子なのだ。男にモテるけど、そのことをわざわざ女の子にひけらかすわけではない。美人だけど、おすまししてるタイプじゃない。本当に愛らしい、くるくるした瞳がチャームポイントの、女の子でも抱き締めたくなるような子なのだ。クラスみんなにちやほやされ、愛される。だけど、いつも一緒にいるには疲れる子だって、みんなは見極めていたのだ。あたしは、グループ分けとなると余ってしまうゆかりちゃんに、HR委員としての使命感も手伝って、近づいた。あたしはいわゆるスポーツ万能、ルックスも悪くないリーダータイプ。小学校時代から結構モテてたし、あのころからいつもクラス委員は私。友達のいない子に話し掛けるのはあたしの習慣だった。けれどなにより、もともとあたしはアイドルであるゆかりちゃんと友達になりたいと思っていた。
予想どおり、ゆかりちゃんと友達だといいことがたくさんあった。まずは彼女のおしゃれとかを学べること。一緒にいるとき引き立て役にだけはならないよう、可愛くなるのをがんばれること。あとは彼女とセットでナンパされること。けれど。ゆかりちゃんといる楽しさが崩れはじめたのは高1の冬だった。
あたしは学年でも一番かっこいい、永井達也が、結構長い間好きだった。バレンタインデーを目標に彼氏にしようと、冬休み明けから本格的に狙っていた。さっきも言ったように、あたしはスポーツ万能人気者タイプ、ルックスだって悪くない。永井達也がいくらモテようと、彼氏にできると思ってた。ただ、ささやかれていた噂では、永井達也はゆかりちゃんが好きだった。でも可愛さはゆかりちゃんに負けても、策略なんかではあたしがうわてのはず。ゆかりちゃんはいたってふわふわしてて、コクってくる男たちには「うーん、どぉしよう??」と首をかしげながらも次々に振っていた。でも強敵に変わりはなかったから、ちょうどその頃ゆかりちゃんにコクった、悠斗というあたしの幼なじみを強く彼女にすすめて、付き合わせた。あたしってやるわね。ゆかりちゃんは普通に楽しそうに付き合ってて、あたしは安心した。これからゆっくり確実にアプローチして、バレンタインデーにコクればいい。チョコ作りも得意だし。

私の計画がうまくいかなくなったのは一月の終わり。その頃になってやっと気付いたのだが、ゆかりちゃんは誰が自分を好きなのかを見極めるのがやたらとうまいのだ。そのかわり女友達が誰を好きなのかについてはとても鈍い。このころすでにあたしが永井達也をすきなことはクラスのほとんどの女子に知れていたのに、彼女はこの4ヵ月後、あたしが言うまで気付かないことになる。


ゆかりちゃんは永井にコクった。永井が自分を好きだということをよくわかって、あたしが永井を好きだということを全く知らないで。悠斗はやさしく振られたと言っていた。コクられてもめったに付き合わないゆかりちゃんがなぜ永井は彼氏にしたのかはわからないが、おそらく彼が人気があるからなのだろう。ゆかりちゃんはどうしようもないほど人を好きになったことなどないのだ。そういう子なのだ。
あたしはそのことをゆかり本人から聞いた。
「あたしね〜、悠斗とばいばいしちゃった。せっかく亜希ががんばってくれたのに、ごめんね。いい人だったんだけど。」
「どうしたの?飽きた?」
あたしはほほ笑みながら聞いた。


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