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よだかの星に微笑みを(第三部)
【SF 官能小説】

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ナースチャ-2

数日後、お盆前だったが親戚に出かけた。父親の実家の、例のハクビシン消失事件のあった所だ。住んでいるのは俺の祖母だけだが、その祖母の実家も、亡くなった祖父の親戚も近所という、いかにも田舎の村だった。だから、俺たち家族が行けば自然に人は集まってくる。
就職の話で的にされる恐れは、ナースチャのお蔭でひとまず無くなった。外国人を初めて見たという人も多いなか、愛嬌のあるナースチャは、徹底した人気を集め、話題は老人たちの酒の肴にすらなっていた。
「疲れただろ? 村は子供がほとんど居ないから、爺婆ばっかり相手して。」
同じ部屋に寝かされた夜、俺はナースチャに聞いてみた。
「あたし全然なんともないよ。嬉しかった。」
「ここで去年、生類解放戦線が活動してるのに出くわした。」
「なんで?」
「ハクビシンが大量に増えて、害獣になってるのをどこかに連れてったらしい。」
「ああ、地下の動物園じゃないかな。動物園て、多分この県より広いけど。」
「そんな企画があったのか。でも、いくら広くたって、あらゆる生き物を飼うのは無理だよ。」
「飼うんじゃなくて、友達になるんだよ。いつか、人も一緒に暮らすの。」
「ふうん。」
批判するのはやめておいた。
「うちはお父さんもお母さんも組織の人で、あたしが幼稚園の時、戦って死んじゃった。兄弟みたいだったライオンも殺されちゃった。それからずっと組織の中で大きくなったの。だから、組織の夢はあたしの夢なの。」
「でも、もう組織は」
「うん。あたし、いろんな人と仲良くしながら、夢を叶えていきたい。」
ナースチャは眠った。窓から満天の星空が見えていた。よだかの星はどれだろうと俺は思った。


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