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よだかの星に微笑みを(第三部)
【SF 官能小説】

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はじめての死闘-1

夏休みになってしまった。実家に帰ろうとも思ったが、帰れば親に就職活動を迫られるだろうし、アンカをアパートに置いていくのもどうかと思われ、俺は迷っていた。就職活動はともかく、卒論を書くには大学の図書館が都合いい。
ポリアンナは前より一層忙しくなり、通信さえ時たまになった。水着の写真がしょっちゅう雑誌に載っている。じきに写真集も出るらしい。高校へ行くのかどうか、知らないけれども、取り敢えず将来はもう、約束されたようなものだ。
そんなことを考えると、ヒモ案を浮上させたくなる。
「あー、全てがめんどくさい。」
相変わらずクーラーのない部屋で俺は悶えていた。アンカは、体がなまると言って、トレーニングに出かけていた。誘われたが、アスリートと一緒にトレーニングするほどの元気は無い。
「一人でプールにでも行くか。」
詩というのはそもそも一人で感じ、紡ぎ出す言葉だ。都会の芋洗いのプールでも、一人で行けばきっと詩情はある。
そうは思いながら、内心では、空いていることを期待していたのだが、芋洗いは見事に裏切られなかった。
とても「泳げる」人数でないから、ただ水に浮いて流されるくらいしか実際できない。まさに芋である。だが気持ちはいい。ついでに、いろいろな女性に体が当たるのも悪くない気分だ。
可愛い外国人の女の子が目に入った。長い金髪の女の子だ。体のバランスが日本人と違うため目立つことと、綺麗なので大抵の人が一度は振り返って見ている。俺も後ろ姿を眺めていたら、向こうがこちらを振り向いて、目が合った。
「げ!」
ナースチャだった。
小学生が一人でプールに来るはずはない。浮きながら、俺は周りを観察した。いた。高校生くらいの女子が二人、付いている。改造人間に違いない。スタイルとビキニのセンスはなかなか良かった。
「うっ!」
股間に圧痛を感じた。間違いなくナースチャの仕業だ。容赦なく潰すつもりだろう。だが、痛みはすぐに消えた。バリヤーがピンポイントで作動したようだ。
子供の女子から股間を弄ばれるのに腹が立った俺は、やり返したくなった。
ちょっとしたイメージでそれは起こった。
高校生二人とナースチャの水着が弾け飛んだ。諸方向に揺れる若い乳房と黒い陰毛、一人の股から垂れ下がるタンポンの紐、そして金髪少女の白い股に切れ込む溝が、衆人の目に曝された。
「きゃっ!」
女の子らしく極端に高い声で叫んだ三人は、慌てて体を隠した。その隙に俺は退散したのだが、着信があり、
「お兄さん、後から待ち合わせね。あたし、やっぱり、狡い大人は許せない。」
ちょうど、不良学生に呼び出されたような気分である。絶対に逃げられないだろう。アンカと蘭を応援に呼び出すことはできるけれども、それもなんだか気が引ける。
追われるのが嫌だった俺はステルス機能を使って逃げた。
また着信があった。
「今日の七時に、鳴神山の駅で待ってる。来なかったら、おうちに行くからね。」
俺は返事をしなかった。四時間後の話だった。


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