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マリア
【その他 官能小説】

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マリア-11

 入ると豪華な部屋に通されて『此処でお待ち下さい、直ぐマリアさんが参ります』と言う。待合室にしては随分広くて金を掛けてあるんだなと思い、キョロキョロしていると赤いチャイナ・ドレスを着た女が入って来た。チャイナ・ドレスというのは丈が足首まであるから普通は脇に膝の辺りまでスリットが入っている。そうで無いと歩けない。しかしこの女のチャイナドレスは腰までスリットがある。歩くとスリットから脚の脇が全部見える。下着を穿いていれば当然見える筈の所まで露出している。しかし下着が見えないということは穿いていないということなのだろうか。それとも脇が透明の特殊な物か、それともグイッと持ち上げてあのスリットの上まで急角度の三角にしているのだろうか。
 そんなことを思いながら嫌らしくならない程度にその女を注視していると、いらっしゃいませと言いながら祐司のわきに片膝着いて座り、水割りを作っている。ちゃんとスリットから脚が露出することを計算した姿勢なのである。と、分かっていても男だからどうしても眼が行ってしまう。すべすべした長いいい脚をしている。尤もそうで無ければこんな服を着たりはしないだろう。取りあえず煙草を出して口に咥えたら女が金のダンヒルを何処からか魔法のように取り出してシュパッと点けてくれた。思わずどぎまぎして『あ、有り難う』と言った。
 女はその姿勢のまま祐司の脇に座っているが、マリアという女はなかなか出てこない。水割りを飲み干してしまうと女が再び作ろうとするので『あ、もういいから』と断った。こんな所で飲むより、ちゃんとした席に案内されてから飲んだ方がいい。しかし、新しい水割りを断ると女はにっこり微笑んで『それではこちらへどうぞ』と言うではないか。何だ、それなら初めから席に落ち着いてから飲むと言えば良かったんだと思った。
 案内された所は個室でタイル張り、ベッドがあって、これはクラブでは無い。ソープランドなんじゃ無いだろうかと思って、案内してくれた女に確認してみようと振り返ったら、女は既にチャイナドレスを脱いでハンガーに掛けたチャイナドレスを入り口のガラス窓が隠れるようにフックに掛けている所であった。

 「あの」
 「はい?」
 「マリアさんていうのはひょっとして君のこと?」
 「はい。初めまして」
 「初めまして?」
 「はい。うちの社長から紹介を頂きました」
 「それは水田さんのこと?」
 「はい。水田社長です」
 「そうかあー。僕は何処かの飲み屋の女で、名前なんか忘れていた人から飲みに来てくれと誘いがあったのかと思っていた。まさかソープランドとは思わなかったなあ」
 「そうですか。お飲みになりたければこの部屋で飲んでも宜しいんですよ」
 「はあ。そのパンティは実にいやらしい形だね。スリットから見えなかったから穿いていないのかと思った」
 「そうでしょう。このパンティは勿論ですけどあのチャイナ・ドレスも私服なんですよ。お店の衣装もあるんですけど、私、自分の仕事には結構金を掛けてるんです」
 「それは偉いねえ」
 「ええ。これ私の名刺です。これも自分で印刷屋に頼んで作ったんです」

 名刺は薄いピンク色の厚手の和紙で出来た物で、確かに金が掛かっていそうである。祐司は慌てて自分の名刺を出そうと胸に手を当ててから既に服を脱がされてしまったことを思い出した。話をしている内に流れるような動作で上着とズポンは脱がされてしまったのである。余りにも当たり前の様子で脱がすものだからまるでうちに帰って服を脱ぐ時のように何も考えず自然に脱がされてしまっていた。壁に掛けてある自分の背広のポケットから名刺入れを出して1枚渡した。下着姿で名刺交換をするというのは初めての経験だった。



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