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疼きに喰い込む赤い縄
【その他 官能小説】

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第二のメッセージ-2

 「毒は入ってない。睡眠薬も。それから、アヤシゲな薬もね。」
 私はちょっと笑ってしまった。わざわざ自宅に呼んで殺害?そんなバカはいない。着信履歴や防犯カメラから真っ先に疑われる。眠らせてイタズラ?それも考えられない。いや、可能性はあるのだろうけど、それだけは無いと思えた。意識の無い私に何かしてもしょうがないのではないか、と。
 「いただきます。」
 「いただかれます。」
 このふざけ方、間違いない。私の知っている伊巻先輩だ。あんなことがあったとは思えないぐらい、切ないぐらいに、伊巻先輩だ。
 「今日ってさ、何の日だか覚えてる?」
 お茶の置かれたガラスのローテーブルをL字型に囲むようにソファーに座るなり、先輩が訊いてきた。
 「え?」
 あれからちょうど二ヶ月…いや、違う。
 「おいおい、忘れたのかあ?二人の初めての、ほら。」
 先輩は呆れたように両手を上げた。アメリカ人みたいに。
 「ああ!」
 「だよ。」
 そうか。ちょうど十年前の今日、音楽室の奥の小さな部屋で、私たち二人は…。
 「この前会った時はさ、あんなことになっちゃった、っていうか俺がしちゃったわけだけども…。」
 「ええ…。」
 「ちゃんとした再会、っていうとヘンだけど、一緒に祝いたいなって思ったんだ。もうあの頃の二人じゃない、十年経ってそれぞれの人生が動き始めている二人の、再会の記念日としてね。」
 私はなんだか拍子抜けしてしまった。考えすぎだったんだ。ここへ来たらまたあの時みたいに、なんて。
 「旦那さん、愛してくれてるんだろ?」
 「はい、とても優しい人ですよ。」
 先輩は柔和な笑顔で二つ頷いた。
 「だから、ずいぶん苦しめちゃったよね、君を。」
 「そうです。めちゃくちゃ苦しみましたよ。あの人を愛しているのに、先輩とあんなことに…なって。」
 私は正直に答えた。
 「だよねえ。裏切らせちゃったんだからね、愛する人を。」
 「ええ。あ、でも、先輩が一方的にしたことじゃありませんから。半分は私が…あの…望んだ、わけですし。」
 「そう言ってもらえるとちょっと気がラクになるよ。ありがとう。」
 先輩は自分が淹れたお茶を美味しそうに一口飲んだ。


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