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【SM 官能小説】

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宴 〜絆〜-5

「お兄様……」
振り向いて欲しくて、真矢は兄の股間に手を伸ばす。
「真矢!?」
突然の感触に驚いて、芳樹は妹の手を振り払った。
「僕は……触れと言ったか?」
「……!」
険悪な声に、真矢は身を震わせる。
「おいおい、その言い草はないだろう芳樹クン?」
ベッドの方から、胤真が真矢の助け舟を出した。
兄妹が、同時にそちらを見る。
股間に智佳をむしゃぶりつかせつつ、胤真は言った。
「真矢ちゃんが命令通りにオナニーしてるのに、こっちの覗き見にかまけて真矢ちゃんを見なかったキミに責任があると思うけどねぇ」
『クン』や『キミ』の発音が芳樹を小馬鹿にしていると思うのは、たぶん気のせいではないのだろう。
「プレイ中に相手を見ないなんて失礼な真似しといて、それはないだろ?」
頬に落ちた髪をかき上げてやりながら、胤真は小さく声をかけて智佳をねぎらう。
「やっぱり、調教方針に相違があるよな?」
気まずい沈黙の漂う芳樹と真矢に気付かず、智佳は淫らな音をたてて肉棒を愛撫していた。
その舌使いに、ふと真矢は見入る。
「ま、妹を犯してそこまでの服従を得たその手腕は評価してあげてもいい。だが、忠誠を得ていない以上はその評価も半減せざるを得ないな」
「忠……誠?」
芳樹は、いぶかしげな顔をした。
「服従と忠誠は違うものだ。それが分からないようなら、懇意にする事は無理だな」
困惑する芳樹を一瞥すると、胤真は智佳のフェラチオをやめさせる。
「智佳。違う場所でたっぷり可愛がってやるから、部屋を出よう」


次の日、放課後。
並んで下校しながら、胤真は言う。
「芳樹クンの様子はどうだった?」
そう尋ねられ、智佳は首を横に振って答えた。
「熱っぽいからって今日は学校休んでた」
その答に、胤真は首をかしげる。
「熱っぽい、ね……知恵熱じゃないのか?」
智佳は思わず吹き出した。
「何しろ昨日はけっこうショックを受けていたみたいだからさ」
「そうだったっけ?」
「一生懸命ち〇こにむしゃぶりついてたから、気付いてなかったろ」
などと言いながら、二人は校門をくぐる。
「あ、あの!」
横からかかった声に、二人は振り向いた。
「あなた……」
「真矢ちゃんか」
瓜生真矢が、そこにいた。
「あ、あの!お二人に、折り入って相談したい事があるんです!」
二人は思わず、顔を見合わせる。
−立ち話で済ませるには人目をはばかると胤真が判断したので三人で喫茶店へ入り、奥まっていて聞き耳などをたてられない席に陣取った。
並んで座る胤真と智佳の向かいに、真矢。
それぞれに好みの飲み物を注文し、それらが届くまで三人は無言だった。
「……で、折り入って相談したい事って?」
温めた水出しコーヒーをブラックで飲みながら、胤真は尋ねる。
「その……」
注文したアイスレモンティーに手を付けず、真矢はうつむいていた。
「昨日会ったばかりの方々にこんな事を相談するのは、普通しないと思うんですけど……」
もじもじと指をこねくり回し、真矢はどう切り出すべきか迷っている。
その様子を、智佳はスパークリングウォーターを飲みながら眺めていた。
「……お兄様の、事なんです」
胤真と智佳はそっと視線を交わす。
「あ〜、よ……いや、お兄さんの、何?」
智佳の言葉に、真矢はうつむいた。
「……最初は、とても恐かったんです」
智佳は声を飲み込み、再び胤真と視線を交わす。
「初めてだったのに乱暴に扱われて、痛くて、恐くて、自分がみじめで……」
真矢は、頬を赤らめた。
「でも何度も体を貪られているうちに、もう兄なしではいられなくなって……」
(……重症よね?)
(いーんじゃないのか?取り返しのつかないとこまでイッてみるのも)
視線で、二人はそうやりとりする。
「お願いです!!」
突然ずいっと顔を近付けられ、智佳は思わず引く。
「お兄様が喜ぶエッチの仕方、教えて下さい!!」


足音も高く喫茶店を出ると、胤真と智佳はため息をついた。
せっかく聞き耳をたてられない席を選んでいたのに、あれほどの大音量で叫ばれれば席を選んだ意味がない。
「す、すみません!」
ひどく恐縮しながら真矢は言い、慌てて財布を取り出す。
「あ、あの……飲み物、いくらしました?」
「ジュース代くらい、おごるよ」
胤真は手を振り、財布をポケットにしまった。
「それより、場所を変えよう。今度は大声を出しても大丈夫な場所へ」


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