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Halloween 〜Trick or cosplay〜
【制服 官能小説】

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最終章 Tric or love-8

今でも好きである気持ちを伝えた後、貴之は不意に視線を落とした。
(んっ…?)
似衣奈の足元を見た貴之はハッとした。それを見た瞬間、貴之は大きな勘違いをしていた事に気付いた。似衣奈の普段着が普段着では無く、ちゃんとコスプレをしている事に気付いたのであった。貴之は様々な事が頭の中に浮かんだ。昨年のハロウィンパーティーから今日まで歩いてきた自分の一年が走馬灯のように頭に駆け巡った。貴之は胸をキュンとさせた。今まで見えなかった物が、まるで深い霧があっと言う間に消えてなくなったかのように。霧が晴れた後に見えた物は間違いなく自分の本当の気持ちだと確信した貴之。その顔つきは似衣奈がドキッとするぐらい素敵なものになっていた。

「似衣奈さん…、やっぱり俺、似衣奈さんの事が好きです。」
「門倉君…」
想いが通じた…、似衣奈の胸がいっぱいになった。似衣奈は貴之の次の言葉を待った。貴之は大きく深呼吸するとキッと顔を引き締めてから言った。
「似衣奈さんは本当に素敵な人です。コスプレイヤーとしても、地味だと自分で言う普段の姿も素敵だと思います。こんな素敵な人に好きと言われて俺、とっても幸せです。俺、似衣奈さんと付き合いたい…」
似衣奈の心が激しく鼓動した。自分を偽って生きてきた日々を忘れてしまいそうなぐらいの幸せを感じた。似衣奈は過去に男に騙される前の自分に戻り、その言葉を聞いたような感覚になる。そして貴之の言葉は続く。

「と、思ってました。」
貴之がそう言った瞬間、貴之の目からは自分には向いていない気持ちを感じた。
「でも、去年のハロウィンパーティーの日から今日まで、色んな物を見てきました。この駅前の風景も、遊園地も、公園も、コンビニも、海も…。でもその風景はどれもこれも、いつだって麻里奈さんと見て来たんです。クリスマスに食べたハンバーグの美味しさを一緒に喜び、クリスマス一色に染まった街並みを見てその感動も共有しました。ジェットコースターで同じ興奮を味わい、コンビニで同じハロハロを食べてこの道も歩きました。一年間歩いて見てきた風景にはどれにも麻里奈さんとの思い出が詰まってるんです。麻里奈さんは自分ではプレイガールだと言ってますが、きっと違うと思います。確証はないですが、麻里奈さんは多分俺だけを愛してくれてたんだと思います。一緒にクリスマスを過ごしてくれた、バレンタインにチョコをくれた、俺の行きたい所にいつも連れて行ってくれた。高校生である俺の事を考え平日は会わないでくれた。たまに会ってもできるだけ早く家に返そうとしてくれた。勉強だって教えてくれた。麻里奈さんが俺に与えてくれたのはエッチだけじゃない、彼女として彼氏に与えてくれる幸せを全て与えてくれてたんです。俺はそれに今気付きました。俺はそんな麻里奈さんを心の底から愛しています。まだまだ子供で何もしてあげられないけど、でもこれから麻里奈さんに与えて貰った幸せを少しずつ返して行きたい気持ちでいっぱいなんです。」

一転、似衣奈は目の前が真っ暗になった。負けたんだ…、その気持ちよりも、伝わらなかった事がショックであった。自分なりに頑張ったつもりであった。しかしそれが伝わらなかったのは、自分以上に麻里奈が頑張ったと言う事だ。
(麻里奈さんは一年前からずっと全力で頑張って来たんだね。それにひきかえ私は素直になれず門倉君と正面から向き合う事から避けてた。でも向き合う事を決めてから私は一生懸命この日の為に努力して来た。でも短すぎた…。誰が見ても麻里奈さんが育んで来た時間と比べたら勝ち目はなかったんだよね…。でも今の私はこれ以上ないぐらいに頑張って等身大の自分を表してるし、門倉君への気持ちも最大限に表している。それでダメなら仕方ないよね。私の負け…。)

貴之の言葉を受け、瞳から涙が溢れた似衣奈だが、その表情はどこか清々しさを感じさせる笑みを浮かべていたのであった。


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