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Halloween 〜Trick or cosplay〜
【制服 官能小説】

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最終章 Tric or love-9

「私の負け…。麻里奈さんの愛に、私は敵わなかった…かな?」
「すみません…」
「謝らないで?ありがとう。私ね…」
似衣奈はそう言いかけて言葉を飲み込んだ。
「でも約束通り、似衣奈さんとまた今日このハロウィンパーティーで会えた事、凄く嬉しかったです。じゃあ…。」
「うん…。」
貴之は振り向いて背中を見せた。その背中を見て似衣奈は言いたかった事を心の中で呟いた。

(今日の私、過去最高のコスプレをしたんだけどなぁ…。『門倉君だけのシンデレラ』ってタイトルの…。もうコスプレイヤーは辞める、これからは門倉君にだけ私の全てを見せる…。自分を偽ってた自分にサヨナラして、本当の私に戻って門倉君だけのシンデレラになるって…そんな気持ちを現したんだけどな…。伝わらなかったかぁ…。でも私、ミスしたなぁ。0時を超えないとシンデレラは元には戻らないんだった…。最後の最後でドジっちゃったな…)
不思議と気分は前向きであった。伝わらなかったと言う事はまだまだ努力が足りなかった証拠だ。それなら麻里奈に負けても仕方ない…、似衣奈はその諦めに不思議と気持ち良さを感じた。

その時であった。不意に貴之の声が聞こえた。
「シンデレラ…ですよね?」
「えっ!?」
似衣奈が貴之を見つめると、そう言ってニコッと笑った顔が見えた。貴之はそう言ってすぐに振り向き、ステージ横…いや麻里奈の方に歩いて言った。

(伝わってたんだ!)
振られたと言うのに似衣奈は嬉しさを感じていた。自分の気持ちが貴之に伝わっていた事が物凄く嬉しかったのだ。
「負け!完敗!!」
気持ちが良かった。何の後悔もない。一生懸命頑張りその想いが貴之にしっかりと伝わり、その結果選ばれなかったのだ。似衣奈はこの勝負をして本当に良かったと思っていた。貴之を振り向かせた麻里奈への女としての尊敬も感じる。同じ男を好きになり傷ついたお互いが、今、やはり同じ男を好きになり、しかし今度は前向きな気持ちを与えられた。似衣奈はようやく過去の呪縛から解放されたような気がした。

「ありがとう、2人とも♪」
そう呟いた後、
「この靴、神経使うのよね。もう私の中では0時、過ぎたから…。」
と言ってガラスの靴からスニーカーに履き替え、似衣奈はコスプレ大賞を最後まで見る事なく静かに会場を後にしたのであった。

そのガラスの靴を似衣奈は生涯大事に大事に飾る事になるのであった。



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