投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Halloween 〜Trick or cosplay〜
【制服 官能小説】

Halloween 〜Trick or cosplay〜の最初へ Halloween 〜Trick or cosplay〜 77 Halloween 〜Trick or cosplay〜 79 Halloween 〜Trick or cosplay〜の最後へ

最終章 Tric or love-7

「似衣奈さん…、コスプレしなかったんですね…。」
平静を保ちながら似衣奈に話しかけた。
「あ…う、うん…」
奥歯に物が挟まっているかのように歯切れの悪い返事をした。
「俺…、昔の酷い彼氏と変わらないですよね。似衣奈さんも好きだし、麻里奈さんも好きだし…。ホント優柔不断でゴメンなさい。」
「えっ…?そ、そんな…」
「俺、分かってます。このハロウィンパーティーにコスプレをして来なかった似衣奈さんの気持ちが。でもそれで俺に言いたい事を口にせずにこうして態度で見せてくれるのは似衣奈さんの優しさだと思いました。」
「…」
似衣奈は視線が覚束ない。言葉が出てこない様子だった。
「でも、俺、似衣奈さんの事が忘れられません。去年出会ってから1日たりとも似衣奈さんの事を思い出さない日はありませんでした。そりゃあエッチしたいとか不純な気持ちもなかったと言ったら嘘になります。俺、麻里奈さんには感謝しきれないぐらいにたくさんの幸せな時間を貰いました。でも気持ちは…ずっと似衣奈さんが好きなままでした。大好きです。例えこれから一年、罵倒され続けようが似衣奈さんに許してもらえたなら、その時はお付き合いしたい、そう思ってます。」
貴之の言葉は似衣奈にとって物凄く嬉しい物であった。

ステージ横から2人の様子を見つめていた麻里奈。当然会話は聞こえない。しかし似衣奈の表情から、女が何を言われたらそういう表情を浮かべるのか、それを知っている麻里奈は胸が苦しくなった。目の前が真っ暗になった。
(神崎さんを選んだんだ…)
麻里奈の瞳から涙が溢れ落ちた。そんな気はしていた。自分がどんなに尽くしても、貴之はいつも似衣奈を見ていた事には気付いていた。このハロウィンパーティーをハイテンションで臨んだのはその不安を打ち消そうとしていたからだ。頭の中には常にあった。体を許している自分が、キスさえ許していない似衣奈に負けていると言う決して埋められない大きな差をいつも感じていた。それがはっきりと目の前に現れた事により、今まで必死で張っていた気が崩れ落ちて行く。
(こんなに頑張ったのに…こんなに尽くしたのに…。私はそれでもまた神崎さんには勝てないの…?どうしたら神崎さんに勝てるの…?分からないょ、もう…)
全力を尽くせば、その結果負けたとしても悔いは残らない…、現実はそんな綺麗事では終わらなかった。確かにあの時のように憎しみはない。しかし似衣奈に対する嫉妬は生まれた。もしかしたらあの時よりもそれは大きいかも知れない。現実は全力を尽くした分、その悲しみはとてつもなく大きかったのであった。


Halloween 〜Trick or cosplay〜の最初へ Halloween 〜Trick or cosplay〜 77 Halloween 〜Trick or cosplay〜 79 Halloween 〜Trick or cosplay〜の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前