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Halloween 〜Trick or cosplay〜
【制服 官能小説】

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第10章 明日への一歩-4

貴之に素直な気持ちを言えて、麻里奈はそれだけで世界が変わったような気がした。二股をかけられて以来、心のどこかで捻くれた感情を持ち生きて来たような気がした。好きなものを好きと言わず嫌いなものを嫌いと言う性格…、本当は自分がそんな性格ではなかったはずだ。それに気づいただけでも自分の体の中にあったモヤモヤが晴れたような気がした。

足取り軽やかに、少し笑みを浮かべて歩いている時だった。
「神崎さん。」
ある女性に声をかけられた。それは麻里奈であった。
「あ…」
似衣奈の顔から笑みが消えた。似衣奈と麻里奈は、実は今まで会話した事がない。二股された時でさえ言い争いどころか会話しなかったぐらいだ。勿論お互いの存在は認識していたが、麻里奈も似衣奈もお互い悪くなくお互い被害者である事を理解していたから争う事はなかった。そんな2人が時間を超え、同じ男性を巡り今、初めての会話を交わしたのであった。

「ひ、久しぶりです…。」
麻里奈を傷つけた負い目から似衣奈はそう言って頭を下げた。
「ちょっと付き合って貰えるかな?」
怒ってるとも怒っていないとも取れるような表情の麻里奈に似衣奈の体は少し強張った。しかし逃げていては何も変わらない、そう思った似衣奈は「はい。」と答えた。麻里奈は似衣奈を喫茶店に誘った。

似衣奈はブラックコーヒーを、麻里奈はキャラメルカフェラテを注文しお互い一口ずつ飲んだ後、麻里奈が口を開く。
「本当はブラックコーヒーなんて飲むような子じゃないんでしょ?あなたは。」
その言葉を聞いた瞬間、麻里奈が自分の事を理解してくれているんだと気付いた。
「はい…、すみません。」
「別に謝る事はないわ?」
「はい…」
そんな似衣奈に麻里奈は二口目を口にした。
「また二股かけられちゃったね。」
麻里奈はため息を付き呆れたような笑みを浮かべた。
「今度は二股ではないと思います。麻里奈さんもそう思ってるはずです。」
生意気な事を言ってしまったかと心配そうな顔で麻里奈を見つめる。
「うん。私もそう思う。あんなクソヤローとは違うよね?」
「はい。」
お互いの表情が緩む。これは麻里奈の話術なのかも知れない。お互いの共通意識を共有する事により同じ側の人間なんだという雰囲気を作った。その一言で似衣奈は物凄く楽になった。麻里奈は自分を攻撃する為に呼び止めたのではないと思えた。

「あの時はすみませんでした。自分の復讐の事しか頭になくて、麻里奈さんを傷付る事を全く考えていませんでした。本当にすみませんでした。」
麻里奈はニコッと笑う。
「それは散々あなたの悪口を言わせて貰ったから帳消しよ。」
「麻里奈さん…。」
お互いのわだかまりが一瞬でなくなってしまった。もうそれ以上謝らなくていいよ、麻里奈がそう言ってくれているように思えた。


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