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Halloween 〜Trick or cosplay〜
【制服 官能小説】

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第8章 勘違いしないで。-8

8月になった。あれ以降、貴之は似衣奈の出るコスプレイベントには行っていない。LINEも途切れた。貴之は貴之でもう嫌われたと思い、似衣奈は似衣奈で、あれだけ言っておいてLINEすらするのが怖く、LINE出来ずにいた。しかしお互いの思いは会えない分だけ大きくなって行く。

本当は際どいコスプレをするのもポーズをするのも死ぬ程恥ずかしい。しかし二股をかけられ傷ついて以来、心のどこかでヤケになっているのだ。オマエ地味だから俺、あっちに行くわ。そう言われて一方的にフラれたあの時の悲しみと悔しさは今でもトラウマになっている。その地味に反抗するかのように似衣奈は派手になって行った。コスプレで人気が出れば出る程に、自分をフッたあの男を見返してやりたい…、その気持ちは今でも根強く残っていた。

本当は嬉しかったのかも知れない。他の奴らにいやらしい目で見られるのが嫌だ…、いや、嬉しかった。しかしその嬉しさを認めればきっと二股をかけられてから今まで自分を必死で変えて来た全てが崩れてなくなってしまいそうな気がして怖かった。だからそんな自分を守る為に、貴之にあんなに怒ってしまったのかも知れない。本当は自分は素直で純粋な女だと知っている。しかし気付けばこんな捻くれた性格になっていた。そんな自分が嫌になる。しかしコスプレをしてみんなの視線を集める快感にはすっかり病みつきになってしまったし、今ではコスプレが大好きだ。イベントがあれば必ず出たくなる。コスプレーヤーとして人気が出れば出る程似衣奈は快感を覚えるようになってしまった。

「もしあの時、素直になって麻里奈さんの事も気にせず、私を心配してくれてありがとうって抱きついてれば、今頃また素直な自分に戻れてたのかなぁ…」
似衣奈は最近ずっとその悩みを抱き続けていた。
「会いたいなぁ…」
似衣奈は胸が苦しくなる。LINEしようかな…、でも…、そう悩みながらいつも結局出来ずにいた。次のコスプレイベントには来てくれるのではないか…、偶然そこらで会えるのではないか、そう思いながらも4ヶ月が過ぎた。今までヤケになっていた自分の変化には気付いている。貴之こそ自分を元に戻してくれる人だったねではないか…、そう思うようになる程に貴之に対する思いは大きくなっていた。

「苦しい…。」
似衣奈は夜空を見上げて月を見た。
「門倉君も見てるかな…。」
そう呟いた。

「似衣奈さんも見てるかな…あの月。」
貴之も同じ頃、夜空に浮かぶ月を見てそう呟いた。

同じ月を見てるのに、月は2人の姿を映し出す事はなかった。


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