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【SM 官能小説】

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宴 〜狂艶〜-2

塩井美咲は車を駐車場に入れ、足音高く玄関に向かった。
−お忘れになられた方が大部分だと推測されるが、胤真と智佳が忠誠がどうのこうのと言い争った時に引き合いに出された秘書。
それが、この塩井美咲である。
長年に渡って胤真の世話をし、胤真の童貞を奪い、胤真が初めてマゾ調教を施した女性でもあった。
この美咲は、最近胤真と関係を持っていないために、欲求不満が体の中へ澱のように蓄積していた。
だがそれも、今日は……。
これからするであろう事への期待で胸を高鳴らせつつ、美咲は玄関へ足を踏み入れる。
「これは塩井様!」
使用人達がわらわらと出迎えたが、美咲は無視を決め込んだ。
「塩井様!胤真様からお部屋にはしばらく誰も近付くなと言われております!」
使用人の一人が叫ぶが、美咲は聞き入れない。
その胤真から呼び出されたのだから、部屋に入る権利は十分にある。
追いすがる使用人を振り払い、美咲は胤真の部屋へ足を踏み入れた。
「塩井さん!?」
意外な出迎えの声に、美咲は体を硬直させる。
「あなた……草薙智佳!どうしてここに!?」
そこにいたのは美咲にとっては目の上のたんこぶ、草薙智佳だった。
「どうしても何も……私、胤真から呼び出されてますから」
戸惑いがちにそう言われ、美咲は智佳の格好を見直す。
智佳の体にはずいぶんとゆったりしたサイズのTシャツを羽織っただけの、男ならおそらく生唾もののスタイル。
そのTシャツは確か、胤真のワードローブにあった物のはずだ。
「な……!」
美咲の唇から、声が漏れた。
「どうして……どうしてあなたが胤真様のシャツなんか着てるのよッ!?」
その叫びには、智佳のスタイルを認めたくないという思いが含まれていた。
女が男の部屋にいて湯上りスタイルになるなら、次にする事はたいてい決まっている。
「だって、前から着ていいって」
そんな美咲の心境に気付かず、智佳はあっさりとそう言った。
「前からあっ!?」
「シャワー浴びた後に制服着ても仕方ないだろうって……」
怒りをますます煽るセリフを吐かれ、美咲は理性がぷっつりと切れた。
「そう……最近お呼びがかからないと思ってたら、あんたが胤真様を寝取ってたって訳ね」
「へッ!?」
身の危険を感じて、智佳は後ずさる。
「ね、寝取るなんてそんな……!」
「黙りなさい」
美咲の冷たい声に、智佳は口をつぐんだ。
「たとえあんたにその気がなくても、胤真様が私を枕元へお呼びになる機会が激減した……。私にはもう、それで十分よ」


帰宅した胤真を、使用人達がわらわらと出迎えた。
「お坊ちゃま!」
智佳と仲のいい使用人が、血相を変えて走り寄る。
「智佳さんがいるのに、塩井様が無理矢理お部屋に……!」
「何ぃっ!?」
「かれこれ一時間、物音一つ聞こえません!」
「!?」
使用人の言葉を皆まで聞かず、胤真は急いで部屋まで赴いた。
予想通り、表の部屋には誰もいない。
二人とも、地下室にいるのだ。
焦った表情を隠そうともせず、表の部屋に隠してある二種類の秘密兵器を手に胤真は地下室へと降りて行った。


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