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「淫らにひらく時」
【若奥さん 官能小説】

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「淫らにひらく時」-4

私はまた、ネットの世界で彼宛てに「楽しかった」と書き込んだ。
今度いつ会ってくれるか打診するために。
周りのユーザーからすぐに「会ったの?」「もしかしてHした?」なんて反応があった。
私は「オトナになってから遊園地に行ったのは初めてだった。」などと仄めかす。
もちろん遊園地なんかに行ってはいない。
他のユーザーからも「今度、遊びに行きませんか?」とか、具体的にどこそこのテーマパークにと誘ってくれた人もいた。
彼と彼らとの違いはといえば、特にない。
ただ、たまたま彼と会う流れになっただけの事だった。
そんな中で彼は「じゃあ、また今度ご一緒しましょう。」とだけ答えた。私にはそれだけでいい。
ところが具体的な約束が取れずにいた。
「いつ」という核心の部分になると仄めかされたようなやりとりになる。

イケなかったのは彼が妻帯者だった事だろうか?お尻が垂れて見えた事だろうか?・・・


お風呂が熱いと義母が言った時の事を思い出す。
それならば、少し埋めてくれればいいものだろうけど、それはそれで「お湯がもったいない」とか言い出すのだった。
仕方がないから、お風呂のフタでお湯をかき混ぜて少し冷ます。
そうしながらも、やっぱり面倒なのでこっそりと水で埋めてしまう。
水を埋める音が聞こえたら、またうるさいからお風呂のフタに水をあてて音を立てないように水を埋める。
主人が子供と入った後の髪の毛とか、何かホコリみたいなのがお湯に浮いていた。
古いストッキングを針金ハンガーに履かせた網で丁寧にとり除く。
これが私の現実なのだった。だけど、こんなものは全然許せる。

沸き立つ湯気の匂いは塩素だか何だか水道水の匂い。
そこで入浴剤を少しばかり加えると姑はこれをものすごく嫌った。
姑なき今は極彩色になるまで香料を振りかけてやる。

ピンク色のお湯にキツい薔薇の香り。ふと、アダルトビデオを見てみたいと思った。
どんな風なセックスが男好みするのかと思ったのだ。

そんなにセックスしたいというわけじゃなくて、ただ私を取り返したいだけ・・・また、母の記憶が頭を過った。

「あぁカズサ!久しぶり、どうしてるの?」

「どうしたの?急に。」

私は旧友に電話をかけてみた。当日の出かけ際に電話をかけてもらうためだ。
こういうのを「偽装工作」とか呼ぶのだろうか?
電話なんて、どこの誰からでも構わなかったのだけど本物のカズサに協力してもらう事にした。
私には他にそんな事を頼める相手が見当たらなかった事もあったから。
そこまで用意周到にしたかった。それはたぶん、そこまでしなくても良かったと思ってもそうしたかったの。
ここはあえて、完全犯罪にこだわりたい。

先日の彼とはひとまず横置きにして、また別の人と会ってみる事にしたのだった。
1と0は全然違う。だけど、1と100は同じようなものなのだと誰かが言っていた。
今度はちょっと年配の人で絵を書いたり、本を読んだりするのが好きだという。
本は・・・女性週刊誌の特にエッチなところぐらいは私も読むけど、絵が描ける人って私の中では特異な存在に思える。
真っ白な紙の上に自分の手で何かを生み出す事ができるのだから・・・


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