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イノセント・ラブドール
【SM 官能小説】

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イノセント・ラブドール-10

ところであなたが今つき合っているN…氏のことです。悪く思わないでください。あなたと彼
がいっしょに入ったホテルで行われたことは、ぼくが隠しておいた盗撮カメラで映像として
すべてとらせてもらいました。なぜそんなことができるのか疑問に思うでしょうが、ぼくは
興信所にホテルの使用人を買収することを頼みました。ぼくにはそれだけの資力があるのです。

なぜそんなことをしたのかって。もちろんあなたをぼくだけのものとするためです。あなたは
もうN…氏とつき合うことはできません。

はっきりとあなたに言います。《ぼくの所有物であるあなた》がぼく以外の男とつき合うこと
自体がゆるされるものではないということです。お分かりでしょう…彼と最近、連絡がとれな
いはずです。

こんなことをやりたくなかったのですが、ぼくはホテルでのあなた方の行為の盗撮映像を彼の
もとに送りました。妻子のある著名な大学教授を脅すことなんて簡単なことです。今後、つき
合いを続けるならこの映像をネットにばらまきますよという脅迫です。震えていましたね、彼
の電話の先の声は。あなたとは二度と会わないとその場で約束させました。彼はその程度の男
です。

状況はあなたも同じであることに聡明なあなたはもう気がついているはずです。あなたはぼく
から逃れられない立場に置かれているということです。

そもそもあなたにとってあの男が必要であるとは思えません。あなたは彼とのセックスにどん
な悦びを見出しているというのです。惰性で続ける妻子のある男との不倫にあなたは自堕落な
偏愛という憐れな欲望の夢を見ているにすぎない…違いますか。


 マイコさん、ぼくのもとに来るのです。これは命令です。ぼくが所有しているラブドールが
完璧な《あなた》になるためです。ぼくのラブドールのすべてがあなたでなければならない。
顔や肉体だけが似ることだけでなく、ラブドールにはあなたが知らない、あなたの奥底に潜む
欲望そのものが吹き込まれる。人体と人格が完全に一致したもうひとりのあなたが…。


 一週間後です。あなたが約束の場所に来るのは。ぼくたちが出会ったあの街の懐かしい場所
をあなたは憶えているはずです。いや、あなたは嫌でも思い出さなければならない。そして
あなたはそこに来る必要があるのです…。

あなたは気がついているはずです…。

こうしてぼくの声を聞いているあなたはすでに《無垢な存在》としてのぼくのラブドールで
あり、ぼくの意思に逆らうことはできない…ということを。



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