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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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過去からの足音-5

「ふぅぅ…」
若菜が大きく息を吐いた。
「もしかしてサーガ…、いや佐川健吾はここにいるかも知れないと思ったけど、違ったみたいね。」
この山小屋は田口事件のキーポイントだ。若菜が佐川健吾の潜伏先として一番初めに頭に浮かんだ場所であった。しかし最近人が出入りした形跡は見当たらない。若菜はガッカリというよりはどこかホッとしたものを感じた。

「父は先輩を守る為に命を落とした。先輩は私を守る為に命を落とした。そして私は…ここで田口の命を奪った。未だその糸が途切れてなければ、今度はあんたを守る為に私が命を落とすのかもね、ここで。」
「や、やめて下さいよ!変な事言うの…。」
マギーはてっきり若菜が、冗談よ、何で私があんたなんかの為に死ななきゃならないのよ!アハハ!、と揶揄うもんだと思った。しかし出てきた言葉は、
「大事な後輩を守る為なら命を落としても本望だわ…」
であった。その言葉でいつものおふざけ若菜ではない事が分かる。そんな空気にマギーも背を正した。

若菜はゆっくりと小屋に歩み寄る。マギーは後ろをついて行く。ふと足元を見ると劣化して地に落ちた立ち入り禁止の黄色いテープがある。そのテープを見た瞬間、この場所が過去に壮絶な事件があった場所なんだと実感した。
ドアには針金がぐるぐる巻きにされており入れないようになっていた。若菜はその針金をゆっくりと外して行く。
「は、入るんですか…?」
「うん。」
「ヤバいですよ…。出そう…」
「お父さんや先輩に会えるならむしろ出て欲しいわ。田口が出たらまたぶっ殺すけど。」
表情を変えずにサラッと言った若菜は針金を外してドアノブを握りドアを引いた。
キキキキキと、いかにも立て付けの悪そうな音が不気味に鳴り響いた。マギーはそれだけで、もうチビってしまいそうな程に怖かった。中に進む若菜。床がミシミシと軋んで今にも抜けそうだ。その先に扉があった。若菜はこの扉の陰から見たあの光景を未だに忘れない。俊介の前で田口にレイプされていた静香。その光景を思い出すだけでも胸が苦しく吐きそうになる。そして無我夢中で飛び出して行った自分。田口に銃を向けられ動けなくなった。銃弾が放たれた瞬間、静香が自分を守ってくれた。そして自分の腕の中で死に体温が奪われて行く静香の感触。若菜の体は震えて来た。そして瞳から大量の涙が溢れ落ちる。床にはどす黒く変色した父親と静香の血の跡が染みついている。蹲り嗚咽して号泣する若菜の涙が2人の血のシミに吸い込まれて行く。
「上原さん…」
マギーは気付くと若菜の体を抱きしめていた。


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