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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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過去からの足音-4

千城県県警本部に向かうには通常木戸インターで降りる。木戸インターまであと1キロという標識が出てきたので一番左の車線に変更しようとしたマギーに若菜が言う。
「ちょっと寄りたい所があるの。このまま走って?」
「はい。」
マギーはウィンカーにかけた手を引っ込めハンドルを握る。どこに行くのだろうと思い若菜をチラッと見ると、先程の下ネタ全開のだらしない顔から一変、踏ん反り返り脚を組み、頭の後ろで手を組み気難しい表情をしている。決して遊びに行ったり買い物にいったりの顔ではなかった。それから暫く若菜は無言であった。

「次で降りて。」
「はい。」
次は北千城インターだ。小さな街があるぐらいで後は殆ど山だ。こんな田舎に何の用事があるのかと謎に包まれた。
「そこ左。…そこ右。」
若菜にはだいぶ土地勘があるようだ。しかし若菜の指示通りに車を走らせるとどんどん人里を離れて行く。そして左に曲がると完全に山だと言う交差点で「そこ左」と言われてマギーはハンドルを切る。
「どこに行くんですか?こっち山ですよね??」
「うん。」
心ここに在らず的な返事に聞こえた。雰囲気的にどこかピリピリしていたのでマギーはそれ以上何も聞かなかった。

そこを右と言われた所を曲がるともう車がすれ違うのも苦労しそうな細い道に入る。周りは木々に覆われ鬱蒼としていた。マギーの嫌いな虫がいっぱい飛んでいる。マギーはひたすら対向車が来ない事を願いながら慎重に車を進めた。
やがて遠くに古びた小屋が見えてきた。もう暫く誰も出入りしていないのが分かる程に小屋全体に蔦が張っている。木々に日差しは遮られ涼しそうだ。昼間でも少し不気味な雰囲気を醸し出している。夜には絶対に来たくない場所だ。こんな所に何の用事だと思いながら小屋に近付く。すると若菜は姿勢を正した。
「小屋の前に停めて。」
「はい。」
マギーは言われた通りに車を停める。若菜は神妙な顔つきで小屋を見つめていた。

「ここ、なんて言う山ですか?」
若菜は小屋を見つめながらたましいが抜けたかのようにボーッとした口調で答えた。
「白山…。」
「白山…?」
聞いたことがある名前だ。マギーは記憶を辿る。
(白山…、白山…。!?あっ…!)
思い出した。そうだ、若菜にとっては忘れられない場所だ。
「…あの小屋、ですか?」
「うん。」
若菜は悲しみと怒りが同居したかのような瞳で小屋を見つめていた。白山の山小屋…、そう、父親と親愛なる先輩が命を落とした場所だ。そして若菜が田口徹に復讐を遂げた場所だ。久しぶりに訪れた白山の山小屋。若菜の胸には複雑な思いが交錯していたのであった。


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