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特命捜査対策室長 上原若菜
【レイプ 官能小説】

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消えたサーガと白川歩美と協力者-4

「警視総監がただのカリスマ性もない人間であったなら今頃警察は混乱を極めて捜査どころじゃなかったかも知れないな。我が我がで警視庁のトップになりたがる人らも出てきて統率どころかバラバラになっていただろう。確かに君にはカリスマ性がある。だから今、警察は統率が取れていい捜査が出来ているのかもしれないな。君がフレアにいたなら間違いなく代表ではなく教祖になっていただろう。神として迷える人間達の希望となっていた事だろうな。」
「神になる事に興味ないんで。私は過去に殺人を起こした人間です。そんな人間を警視総監として認めてくれた方々の期待を裏切りたくない、その一心で頑張ってます。全世界の人間と常に同じ目の高さで生きていたい、いつもそう思ってます。」
深野はこの日初めて笑った。
「素晴らしい人間だよ、君は。君なら警察を…、いや日本を変えられるかも知れないな。私も日本を変えようという志を持ちノウムを設立した。しかし人間は難しい。地下鉄サリン事件が発生した時、それを痛感したよ。確かにあれは私が産んでしまったようなものだ。事前に可能性を感じながらも止める努力を怠ってしまった。」
「で、怖くなったんでしょ?」
「…。君はお見通しか…。そうだ、怖くなった。自分の作り上げたフレアがあんな事件を起こしてしまった。世間の目も怖かった。人を信じる事も怖かった。だから私はここで小さく縮こまっているに過ぎない。私は逃げているだけなんだ。」
「私もそうだったのかも知れない。田口徹を殺して罪を償う名目で服役はしたけど、きっと殺人者として世間の人らから見られるのが怖かったのかも知れない。人間はみんな臆病な生き物です。でもだからこそ勇気を持つ事が出来る。あなたも私もサーガも下条も、みんな臆病者です。しかし誰がどれだけ大きな一歩を踏み出せるかって事だと思う。自分が臆病者だと認める事が出来る人間こそ、未来を変えられる事が出来るものだと思います。私は自分が臆病者だと認めて足を一歩前に出しました。深野さん、あなたも私と一緒に一歩前へ進みましょう。」
「…」
沈黙する深野を見ながら宙から降りた若菜はニコッと笑う。
「じゃ、帰ります。」
そう言って背を向けた若菜の背中は、深野には後光が差しているかのように眩しく感じたのであった。
「あんな人間がいるのだな…。」
自らを神だと名乗っていたあの頃が恥ずかしくなる程、本当の神に出会ったような気がした深野であった。


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