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長い夜は湯煙と共に
【SM 官能小説】

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爆乳マゾ女との奴隷契約は双方向に義務が生じる-2

そんな僕をよそに、実梨亜さんは再びペンを動かし始める。やることのない僕がその様子を眺めている間に、見る見る便箋の裏は字で埋まっていった。

「……お待たせいたしました、御主人様。お改めください」
「うん……」

受け取って読んでみる。そこにはこう書かれていた。

――――――――――――――――――――――――――

奴隷契約書

一、千代内実梨亜(以下、奴隷)は心身の自由を含めた一切の人権、および人間としての名誉・尊厳を完全かつ永久に放棄し、その所有する財産を含め、自らを幸島照羽様(以下、御主人様)の管理に委ねるよう申し出る。

一、御主人様は前項の申し出を受け入れ、奴隷、および奴隷の所有する財産を管理することを承諾する。

以下、補則事項
奴隷の義務
一、奴隷は、御主人様を世界唯一の男性とみなし、他のオスは虫ケラ同然に扱うこと。

一、奴隷は、御主人様に対して最上級の敬意を常に捧げること。

一、奴隷は、性的な奉仕、身の回りのお世話を始め、あらゆる種類の奉仕を御主人様に対して行うこと。また、御主人様の心身を清潔・健康な状態に保つよう努めること。

一、奴隷は、御主人様に命じられたことを速やかに実行しなければならない。また、御主人様からの扱いはいかなるものでも拒否できない。

一、奴隷は、御主人様と2人きりの空間では、乳房、生殖器、臀部を隠す衣類を身に着けてはならない。

一、奴隷は、御主人様と2人きりの空間では、食事、睡眠、排泄などの生活行動を御主人様の許可なく行ってはならない。

御主人様の義務
一、御主人様は奴隷を、己の欲望を満たすための、人格のない道具、もしくは玩具として扱わなければならない。奴隷をみだりに人間扱いして、欲望を我慢することは許されない。

一、御主人様は奴隷に対して、常にその立場を自覚させる言動を心掛けなければならない。日常的に侮辱、嘲笑を行って、奴隷に屈辱と羞恥を与え続けなければならない。

一、御主人様は、奴隷の義務を手前勝手に軽減してはならない。

一、御主人様は、奴隷が義務を十分に果たさない場合や粗相をした場合、速やかに奴隷に懲罰を与えなければならない。懲罰は奴隷に強い屈辱や羞恥を与えるものでなくてはならず、生ぬるい懲罰もどきでお茶を濁してはならない。

一、御主人様は、性欲を覚えるかペニスが勃起した場合、奴隷が近くにいれば直ちに処理を命じなくてはならない。奴隷が近くにいなかった場合、奴隷を呼び出すか我慢するかは御主人様の判断に委ねられる。

一、御主人様は、いかなる目的であれ金銭の必要が生じた場合、まず奴隷の財産を使用しなければならない。勝手な金策は厳禁。とりわけ、頼んでもいないのに金銭を貸し付けようとしてくる奴隷以外の女性には注意すること。

一、御主人様は、奴隷に処理をさせる以外の手段で性欲を発散してはならない。とりわけ自慰行為は厳禁である。

一、御主人様は、奴隷以外の女性との接触を最小限にするよう努めなければならない。勝手に彼女を作るなどは論外である。女性からの脅迫等によって強制的に交際がスタートしそうなときは、速やかに奴隷への報告・連絡・相談を行い、善後策を協議する。

一、御主人様は、本契約が国連憲章、国際条約、日本国の法律・条令、倫理、人道、公序良俗、および自身の価値観に優越することを承諾する。それらを持ち出して、本契約を破棄、もしくは死文化しようとすることは許されない。

一、御主人様は、本契約に対する第三者の意見に耳を貸してはならない。

本契約の改訂について
一、奴隷は、御主人様に対する義務を新たに思い付いた場合、いつでも本契約に条文を追加することができる。

一、御主人様は、奴隷を管理する上で必要な事項が明らかになった場合、直ちに本契約に条文を追加しなければならない。

本契約の破棄について
一、本契約は御主人様か奴隷のどちらかが死亡するまで有効であり、どちらからも破棄することはできない。

西暦20XX年 1月X日
御主人様
奴隷    千代内 実梨亜(署名)

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「……凄いね。まるで法律の条文みたいだ」

流麗極まる楷書体で書かれた奴隷契約書に、僕は舌を巻いていた。現実的に実行不可能なことが書かれていたら、そこを突破口に内容に口を出し、もっと常識的な内容に書き換えさせようと思っていたのだが、甘かった。

「恐れ入ります、御主人様……」
「それに……字も凄く綺麗だね。“全日本チキチキ無駄な達筆選手権”に出たら優勝狙えそうだ」
「あら……本当にあったら楽しそうな大会ですね」
「いや、去年僕はじゅ……ごめん、何でもない」

思わず、去年僕がその大会の準々決勝で敗退したことを口にしそうになったが、本当にこの契約書を引っ提げて出場されたら一大事なので、黙っていることにした。

「……そう言えば何か、御主人様の義務の方が多いように見えるんだけど……」
「申し訳ありません。そこはノヴレス・オブリージェ(高貴なる者の義務)と思っていただいて……」
「そうなんだ……」
「私の署名は終わりましたので、後は御主人様の署名をお願いします」
「分かった」

僕はボールペンを受け取り、行書体で自分の名前を署名した。


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