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痴漢専用車両へようこそ
【痴漢/痴女 官能小説】

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断罪開始-2

(この男の方が、あの女の相手より断然格上ね)

深雪の脳裏に、しばらく前に出席した結婚式の新婦の顔が浮かんだ。

自分より格下と思っていた同僚の女が、同じ会社の若手のホープと結婚をした。勝ち誇ったように結婚の報告をした格下の女の幸せそうな顔を見て、深雪は悔しくてどうにかなりそうだった。

その女が寿退社するまで、その女の顔を見ながら、ムシャクシャとした日々を過ごした。

(さっさと辞めればいいのに)

毎日のイライラが蓄積していき、深雪がその捌け口にとった行動が、痴漢の冤罪をでっち上げて、他人を貶めることだった。そんな深雪と同じ電車に乗り合わせた海野は不幸だった。深雪は、か弱い被害者を装いながら、海野が冤罪でうろたえる様子を見て、その心はスッキリとした。

しかし、これは一時的なことでしかなかった。その女が寿退社しようが、若手のホープである新郎の顔を会社で見る度に、深雪の悔しさが振り返された。結局、その勝ち誇った女に格下と認めさせなければ、根本的な解決とはいえず、深雪の気が済むことはなかった。

そんな深雪にとって、セレブな男、雄一との出会いは幸運以外の何ものでもなかった。

(この男なら、あの女に勝てる)

雄一に声を掛けられた翌日、付き合っていた男に別れのメールを送り付けた。直ぐに男から連絡が入ったため、アクセス拒否の設定をした。格下の女の結婚で、焦って付き合い始めた男には何の未練もなかった。

こうして雄一の容姿とセレブな背景に惹かれた深雪は、陽子達の筋書きの通り、雄一のデートの誘いに乗って、駅のホームに立ったのだった。

同じく、月島希は星司にエスコートされて中央の乗車口に、永田みなみは田川と共に前方の乗車位置に立っていた。

そして3組のカップルの前に【痴漢専用車両】が止まった。

優子は扉が開き、星司が入ってくるのを横目で見ながら生唾を飲み込んだ。ふと、視線を感じた方に目を向けると、陽子が小さく首を降っていたので慌てて前を向いて視線を反らせた。

扉が締まり、【車両】が静かに動き始めた。

―いよいよね―  ―思い知らせてやる― ―うふふ、今夜は抱かれてあげる― ―ふう、ばれずに乗せることができた― ―今回のターゲットはこの女か― ―マスター愛してる―

走り始める車両に渦巻く思念。それぞれがそれぞれの思いを内に秘めて待っていると、唐突にそれが始まった。

月島希は尻の違和感に驚いて、星司を見上げた。星司が自分の尻を触ったと思ったからだ。

「どうしたんですか?」

星司は問いかけた。

希は自分を覗き込む真っ直ぐな視線にドギマギしつつ、一方ではこれまでになかった星司の大胆な行為を歓迎していた。

(ようやく積極的になってきたじゃない)

そう思った直後、希は身を強張らせた。星司が両手で吊革を持っていることに気づいたからだ。

「ヒッ!」

驚きで息を飲む希。それが合図となって、複数の手が女体に伸びてきた。尻を触っていた手がスカートの中に入ってきて下着の上から尻肉を鷲掴みにした。違う方向から伸びてきた手が、力の加減も考えずに割れ目の中に指を食い込ませた。また、違う角度から伸びてきた手が左右の胸を遠慮なく揉み始めた。

「ヒイィィ―――!」

恐怖を覚えた希は、助けを求めるために星司の腕を両手で掴んだ。

「どうしたんですか?そんなに驚いた顔をして」

腕を捕まれた星司にも、明らかに希の身に何が起こっているのかは見えているはずだ。しかし、希に問いかけた星司の表情は、いつもの優しげな微笑みを浮かべたままだった。

「ち、痴漢、た、助けて…」

恐怖で見開かれた希の目が、星司に訴えかけた。

「痴漢?どういう意味ですか?」

星司は惚けた。

「な、何言ってるの、気づかないの?」


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