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SM学園・行事幕間
【学園物 官能小説】

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第7話 エスコート練習-3

 スポット照明に続き、舞台装置を動かす舞台袖を覗きます。

 舞台袖には『緞帳の上げ下げ』や『舞台装置に搬入』、『体育館に据付の照明を操作』、『音響』を担当するBグループ体育委員、体育委員長がスタンバイしていました。 体育委員というと『気力優先精神論、実務二の次おおざっぱ』なイメージがありましたが、こと学園生徒会に関しては大間違いだったようです。 舞台上ではBグループ2組が『アイドルを模した振付のダンス』を、入れ代わり立ち代わり披露していました。 曲に合わせて身体をくねらせ、時折スカートが舞い上がって下着を穿いていない股下がチラリと垣間見えます。 とはいえ裸を前面に出すダンスでは全然なくて、動きのキレや交差で魅せる、純粋に綺麗な踊りでした。 こういうダンスではBGMが物をいいますが、音響の切り替えといい、照明のタイミングといい、何から何までバッチリです。 体育委員が控えている舞台袖を顧みれば、舞台の進行表を眺めながらテキパキと操作する姿が実に堂に入っていて、まるで本職みたいでした。 

 ただ、学園祭のリハーサルを見学していて、1つ気になったことがあります。 体育委員さんも、管理委員さんも、そしてまさに現在舞台の上で踊っているBグループ生にもいえることです。

 すごく……『ふつう』です。 

 1組の次に舞台へあがったのは、Bグループ2組です。 演目はMV(ミュージックビデオ)……なるほど、趣は違えど『ダンス』の1種ですよね。 旧世紀の偉大なカルチャーリーダー、MJの『スリラー』だと一目で分かりました。 『殿方の踊りを真似をしていいものか』という問題点を看過できるなら、とってもスタイリッシュでカッコいいダンスです。

 でも、やっぱり『ふつう』なんですよ。

 Bグループ生は普通に『舞台を準備』し、普通に『金券を販売』し、エスコートにしても普通の制服姿で行っています。 一方私達Cグループ生は、身体の限界に挑戦し、常に全裸で振舞っているんです。 片や露出が多いとはいえ、まっとうな服でスタイリッシュなダンス。 片や全裸でウンチ噴水……これって、大丈夫なんでしょうか? 学園の生徒である以上、Bグループ生にもそれなりの羞恥、露出、変態が求められそうなものですが、こんな『ふつう』な演技はアリなんでしょうか?? それとも、上級生ともなれば要求される振舞いが全く違ってくるのでしょうか……。 

『学園祭における牝性は、Bグループ生とCグループ生で異なるんですか?』

 思い切って【A2番】先輩に尋ねてみました。 同じ寮とはいえ、Aグループ生に質問だなんて、我ながら思い切ったことをしたと思います。 ただ、私の中では【B2番】先輩の直属の先輩ということで、少しくらいなら甘えても大丈夫だろうという感覚があったんです。 急な質問にビックリしたのか、先輩は一瞬面喰った顔をしました。 でも、すぐさま軽いノリに戻ります。 答えてくれるかドキドキでしたが、思ったよりずっと優しく、丁寧に教えてくれました。

 先輩によれば、Bグループは『上品さ』が求められて、Cグループには『下品さ』が求められるそうです。 牝は『御淑やか』かつ『猥ら』であれ、品のある身だしなみと品の無い嗜みを両立せよ、調教された身体に躾けられた精神を備えるべし――Bグループに進級するときに全員が教わる標語だそうです。 学園祭において、Cグループは肉体と精神をモノに貶める嗜みを発揮します。 一方、Bグループはどんな状況下でも全身をコントロールする理性を発揮することが求められます。 具体的には『最高潮に昂ぶった性感を維持したまま、御淑やかに振舞う』ことがBグループの課題なんだそうです。 

 Bグループ生は学園祭の準備が始まって以降一切の自慰を禁じられ、性器に触れることも認められません。 その上で毎食時に性欲を増強する特効媚薬を摂取し、さらに毎朝のご挨拶後にペースト状の性感過敏薬を膣、乳首、肛門に塗布しています。 先輩によれば、Cグループの一年間で経験したレベルを遥かに超えた掻痒感に日がな一日苛まれ、股間をメチャクチャにかきむしりたい衝動で一杯になるそうです。 そんな状態で文化部展示なり、クラス演技なり、各種委員会なりをこなすというのは、全裸で憚りなく自慰を披露するよりも、もっとずっと困難です。 その困難に打ち勝って、常にぐちょくちょになったオマンコを垣間見せながら、あくまで何事もないかのように笑顔で振舞うBグループ生。 ――パッと見『普通』に見える振舞の下に歪な『性感拘束』があることを、先輩は教えて下さいました。 

 そう言われてみると、舞台上の光景もガラリと変わってきます。 ステージから振りまく笑顔は、言われてみれば素直な笑顔じゃありません。 頬は蒸気し、常に呼吸が乱れていて、ステップを刻むたびにモジモジと太腿を擦る素振りをみせるBグループ生たち。 頭の中は『オナニーしたい』しか考えられない状態に貶められながら、女の子らしいダンス踊っているなんて――Cグループ生も大概ですけど、Bグループの先輩方も滑稽です。 どちらにしても、ベクトルは違えど学園で生きるため一生懸命頑張ってることが理解できました。

 Bグループのダンスは続いていましたが、ずっとステージを見ているわけにもいきません。 全校をエスコートするわけですから、模擬店に文化部の展示、メイン展示とまだまだ回るべき場所は残っています。 先輩にリードをひかれるままに、私たちは体育館を後にしました。
 


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