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梟が乞うた夕闇
【鬼畜 官能小説】

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 香菜子の唇が牡慾の穢れを知らないことに勘付き、初めての口交を奪ってやった陶酔が相俟った中年男の突貫は容赦がなかった。噛みちぎってやろうにも、えづきだけではなく、バストと秘所に吸い付く唇がもたらす邪な悦美のせいで顎を動かす力すら奪われていた。
「はふっ、で、出るっ!」
 雄叫びとともに、握らされ続けていた片手の肉塊がヌルンと抜け出ると、額の方から縦に熱い筋が何条も飛び散ってきた。
 いったい何回目の汚辱だろう。とっくに人数以上の射精を見舞われている。一人一回では済まされないのだ。しかも鼻先から左右の頬を添い落ちてくる溶岩は、臭気も濃度も、そして液量にも減衰の兆しは感じられない。
「オホッ!」
 吼えた中年男が体重をかけ、亀頭の丸みが口蓋垂を越えてきた。「ほらっ、飲め飲めぇっ……、あ、洗い流してやるぅっ」
 喉頭へ直射される。気管へも流れ込みそうになって咽せてようが、遠慮のない脈動が繰り返された。尻肉を震わせて最後の一滴まで搾った中年男が漸く男茎を唇から抜き取ったが、咳き込んで泡立った白濁を吐き出している間に、すぐにまた頭上を暗がりに包まれた。中年男が居た同じ場所へ、別の男がしゃがんできたのだ。
「や、も、もう……」
 拒絶を訴える口を新たな男茎に塞がれた。吸えっ、と今度の男は自分の腰を固定したまま、香菜子の頭の方を乱暴に揺さぶる。
(も、もうやだ……)
 憎しみを心の中に滾らせているのならば、それを原動力として反逆への足掛かりとすることもできたろう。しかし口腔、バスト、脚の間、そして繋がれて自由の利かない両手でさえ、男茎を慰める具として使われている。
 それなのにどうしようもない焦燥に全身を支配されていては、職責を全うして反撃、ないしは逃走を企てるより、とにかく、どんな形でもいいから今の苦悶から解放されたいと思えてきた。
 ビュルッとした激射が、舌の上に濃厚な味覚を広げた。おそろしい不味さだった。男茎が抜かれてすぐに吐き出そうとする口を、手のひらでしっかりと塞がれた。
「聖なるオクスリ、吐いちゃダメでしょぉ」
 順番を待っていた気色悪い声の獣は、毒汁を吐き出すことすら許さず、肘掛に上がり、抑えていた手を外してすぐに勃起を捻じ込んできた。
「ごぶっ……」
 他人の精液が充満している口内へ体の一部を突っ込む男の気が知れない。だが男は香菜子の口内で温められた粘液が男茎を包む感触に恍惚として、委細構わず腰を振り始めた。
 視界の両端に、扱いている先端を脇腹や二の腕に押し付けつつ待っている影が見えた。まだ続くのだ。人影を数えると、少なくともあと三回……いや、それでは済むまい。間断なく続く口虐の果てに夥しく注入されるであろう忌まわしい臭汁の想像で、今のうちから嘔気を感じた刹那、
「ンー!!」
 香菜子は瞠目した。
 足の間を貪っていた唇が離れ、ストッキングが引き裂かれると、ドロドロになったクロッチを刃物で切り落とされた。
 オーッと周囲から歓声が上がる。
 いくつもの視線がムキ出しにされた股間へ集中しているのが痛いほど伝わってきた。
(いやっ……、み、見ないでっ!)
 だが革枷を鳴らして身を捩るも虚しく、内ももを摩って両側から伸びてきた手指に媚門の畝を左右にくつろげられる。更に大きな歓声が上がった。
「こんなにヌルヌルにして……、なんてイヤラしい女だっ!」
 誰かが声に出して言った。
 そうだ、本当に、何てイヤラしいのだろう。身震いがするような男たちの肉茎を頬張らされているのに、垂れているのが自分で分かるほど濡らしてしまっている。
 野獣たちは口では非難しておきながら、サーチライトにキラキラと光る花唇へ誘い込まれるように手を伸ばした。媚肉の繊細な感触を味わいつつ、溢れた蜜を掬い取っては、肉蓋を剥かれて露出した雛先へ塗り付け、弾いた。
「ンッ、はあっ! おぐっ……、ンッ、やっ……」
 それも一本の指ではなかった。それぞれに感触もイジり方も異なる何本もの指が代わる代わる花弁とクリトリスを玩弄する。貫かれた喉奥からくぐもった嗚咽を上げながらも、M字に開いた下肢がヒクついた。
(こ、こんな……)
 狂おしいほどの鬱屈が胎の奥に溜まっていく感じだった。
 陽介と結ばれ、そして容易に会えなくなってしまった恋しさのあまり寝床で自らを慈しんだ時、彼の雄の象徴を思い出して味わった畢竟、それと同じ予兆が渦巻いていた。
 こんな自分は信じられないし、信じたくはない。
「……イキそうなんだろ?」
 獣たちの唸りの中、よく通る声が届いた。
(い、いやっ……こんなの絶対……!)
 折しも口内の男茎が放ってきた大量の精液の、痛烈な臭気で頭の中が混濁する。香菜子の願いとは裏腹にヘビ夫の声が谺鳴する。
「おい、コレで救済してやれ」
 コレ――?
 口を犯し終えた獣が退き、次の獣がのしかかってくる合間に目に入ったのは、何人もの目出し帽が顔を寄せ合って股間の中心を覗き込んでいる屈辱的な光景だった。そしてそのうちの一匹――三ヶ月禁欲していたとかいう若い獣が、リーダーから受け取ったモノを片手に、群れを押しのけて真正面から近づいてきた。


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