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『秘館物語』
【SM 官能小説】

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『秘館物語』-4

落ち着きを見せたところで再び水車は回転し、望はまたしても水の中へと頭を放り込まれた。
『ごぶごぶごぶ! ………ぶぐっ、がぼぶぐ!』
 悲痛な空気の叫び。それさえもまるで甘い戦慄を聞いているかのように、涼しい顔で志郎はその様子を見ている。
『ぶぐぅ! ごぶっ!』
 助けを請うように何度も吹き上がる吸気の泡。しかし志郎は、何も動かない。
『! ! !』
 四肢が、強く張った。縛めている革のベルトを引きちぎらんばかりに。しかし当然ながら、それは破られることはなく、望は苦しみの渦中から逃れることなど出来なかった。
『………ごばぁっ! げほっ、げほごほっ! おえっ……ごぅえっ……』
 再び空気の中へ戻される望。待ち望んでいたように、呼吸を再開させ、嘔吐にも似た嗚咽を交えながら、酸素を肺へ急いで供給していた。
『………』
『あっ……あぶ………―――――』
 志郎が三度水車を廻す。
『――……ぼはっ! あふっあふっ……あ、あぶ………―――――』
 今度は止めることをせず、延々と廻し続ける。そのため、水中での無呼吸状態が短くなったものの、遠心力という全く違う責め苦を受けることになった。
『あぶぅ……ぶはっ、ぶはっ……ごぶっ………はあ、はぁっ……ぶ、ぶぶっ……』
 回転が何十回と繰り返されると、初めのうちは必死になっていた望の呼吸も散漫になっていき、酸素不足によって朦朧としたものか、その快活な瞳の生気は失われていった。
 その頃を見計らったのか、志郎が完全に回転を止める。
 ぐったりと首を垂らし、濡れきったショートヘアの前髪から雫を零す望。
『だ、だんなさまぁ………』
 荒い息を落ち着かせ、顔をあげた望の瞳には、あれだけ命に関わる責め苦を受けていたのに、さきの麗女と変わらぬ満足げな色が滲んでいた。
 映像が別のものに切り替わった。先程の大きな水槽に、今度は下半身を浸している望がそこにいた。それも、ただ浸かっているとかそういうのではなく、妊婦が出産のときに使用する寝台、いわゆる“分娩台”に寝かされて、大きく開脚した状態でそのまま水槽に放り込まれ、下半身が浸るところまで水を注がれているという具合である。随分手の込んだ責め具であるとは思う。
『あ、あの……だ、旦那様……』
 水はひょっとしたら、お湯なのかもしれない。彼女の頬は、まさに風呂上りを思わせるほどの火照り具合を見せていた。
『あの……その……』
 だが、様子がおかしい。膝裏でがっしりと固定され、ご丁寧にも両腕は頭の上で拘束されている。そんな動けない状態の中、それでも彼女の身体がうねっていた。
『………』
 特に腰の動きは激しく、まるで何かを必死で我慢している風である。
『ほ、ほどいてください……お願いします……』
 羞恥にも顔を紅くしている。浩志はこの時点で、きっと尿意を催したのだろうと想像した。今までそういう映像は何度もあったから。
『……お、おトイレ……』
 やっぱり、と納得しかけた浩志の耳に、望の衝撃的な言葉が続く。
『お、お願いします! ウ×チ、ウ×チしたいんですっ!』
「!?」
 可憐な女性の唇から出た、汚物の名前。固まってしまった浩志を余所に、望の懇願はなおも続いていた。
『朝から、おなかがゆるんでしまって……だから……このまま、ここで、しちゃったら……』
 水槽の中で、水に浸された状況でそんなことになれば、想像を絶する惨劇が彼女に襲い掛かるだろう。
『おトイレじゃなくてもいいですっ! バケツの中だって、おまるの中にだって、旦那様の目の前でだって、喜んでウ×チしますっ! だから……いまは、いまだけはここから引き上げてください!!』
 水の中で脱糞することを余程に避けたいのだろう。彼女が出した代替案は、それだけで充分に女性としての尊厳を奪うほどの羞恥を晒すことになるというのに。
『お願い! お願いします! も、もう出ちゃう……あ、はうっ―――――』
 奥歯をかみ締めて、四肢を強張らせて、急に襲いかかってきたらしい猛烈な便意と戦っている望。
 その必死な形相に刺激をうけたものか、志郎は水槽に近寄ると、生理現象が起こす耐えがたい苦痛の汗に濡れる彼女の額に手を当て、張り付いていた前髪を解きほぐした。
『ああ、旦那様……』
 望の不覚は、志郎の真意を取り違えたところにある。おそらく、志郎の優しさに触れたことで、自分の願いを聞き入れてくれると思ったのであろうが。
『だ、旦那様!? あっ、あぐぅぅぅぅ―――――………っっっ!!!』
 それは瞬時にして無残にも破られた。彼が手にしていた鞭の柄を、下腹に押し当てて、まるで餅をつくように上下したのだ。


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