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『キューピットの恋』
【青春 恋愛小説】

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『受身な恋〜キューピットの誤算〜』-1

やぁ…久しぶり。永見悠士です…。いきなりどんよりモードで申し訳ないです…。え?何でどんよりモードかって?じゃあしばらく前の話からすると…僕は顔良し・成績良し・性格良しの藤沢舞さんと付き合うことになったんだけど(ここらへんの詳しい話は前の話を読んでね)、あれから僕に来る相談がさらに増えたんだ。というのも、
『相談すれば八割告白成功、さらには自ら学年のアイドルを物にした恋愛マスター』
なんてろくでもない評判までたってしまって、他校の女の子まで相談に来る始末(さすがに他校のことはわかんないからお断りしてるけど)。まさかこんなことになるなんて、ちょっとトホホだ。
「はぁ、一体何件相談受ければ終わるんだ。」
昼休みに入った途端にまた相談が来て、ちょっとグロッキー気味な僕。
「なら、やめちまえば?キューピット廃業!」
そう声をかけてきたのはヤスだ。
「困ってる人を突き放すのは僕のポリシーに反するの!」
生まれつきの性格だからね…。
「で、こんなとこでのんびり休んでていいのかよ?舞ちゃん、待ってたぜ?」
しまった!弁当いっしょに食べる約束だった!
「やっべぇ〜!」
弁当をもって全力疾走!待ち合わせ場所に着いたときにはもうボロボロ。うぷっ、気持悪〜。
「おっそ〜い!また相談されてたの?」
「ごめん!いや、なるべく早く切り上げようとは思ってたんだけど…。」
「もぉ、悠士くん待ってたからお腹すいちゃったよ!」
「ホントにごめんなさい!」
「しょうがないなぁ。まぁそういう面倒見のいいとこが悠士くんのいいところだし、許してあげる。でも次は急いでよ?」
そういってニッコリ微笑む舞ちゃんに僕はすっかり癒されて、楽しい昼休みを過ごした。こんなやりとりも最近ではすっかり定番になっていた。でもこのとき僕は気付いてなかったんだ、彼女の本当の気持ちに。


その日も、同じように弁当をもって全力疾走で待ち合わせ場所に向かったんだ。僕がそこに着くといつも通り舞ちゃんがいて、いつも通り舞ちゃんが僕に文句をいうはずなんだけど、今日はなにやら様子が違う。
「ごめんっ!また相談来ちゃって、急いだんだけどさぁ。」
「そう…。」
舞ちゃんの表情が暗い。何かあったのかな?
「どうしたの?元気ないけど、何かあった?」
僕がそうたずねると、舞ちゃんは堰を切ったように泣き出してこう言ったんだ。
「何かあったじゃないよ!…悠士くんは…私より相談のほうが大事なの!?待たされてる私の身にもなってよ!」
突然怒られたことに僕は動揺しきってしまって、何も言えない。
「毎日毎日相談相談って、少しは私といてくれたっていいじゃない…。ホントに私達付き合ってるの?ホントに私のこと好きなの?」
まさかこんなに怒ってたなんて…とりあえず謝らないと。
「ご、ごめん…。」
「…もういい…謝らないで…ワガママ言ってごめんね…さよなら。」
僕の精神にトドメをさすには十分過ぎる一言だった。


で、今に至るというわけです…。
「……。」
頭を抱えたままの僕に、ヤスが言った。
「しょーがねぇだろ。ふつうは怒るって。むしろ舞ちゃんはガマンしたほうだと思うぜ?」
やっぱり、そうだよね…。
「まぁ、何でこうなったか、今日一日じっくり考えるんだな。そうすれば自分がどうするべきかも見えてくるんじゃねーの?」
…なんか、ヤスのほうが恋愛マスターな気がする…。


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