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尚代
【SM 官能小説】

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陥落-5

 男は、ふっくらと美しい翳りのふもとの前にある、妖しく蠢いている肉壺の入り口を見つめている。
 尚代は苦しい悶えと甘美な陶酔が入り交じった複雑な気持ちで揺らめいている。熱い沸き起こる震えに、尚代の顔は、汗みどろでまっ赤になっている。
「あうう!」
 尚代の鼻孔がうめいた。つらそうに眉を寄せ、首をやるせなくゆらめかせている。
「うっふん」
 今度は鼻が啼いた。
 身体がコチコチにこわばってきている。男は二点を集中して攻めていく。
 ついに、ビクンビクンと大げさな震えが臀部を襲ってきた。不自由な身体を上下に揺らし、全身が熱い震えと戦っているかのようだ。
「あっ、あうう、いいいぃ……」
 髪をふり乱して声を出すまいと歯をくいしばっている。目じりを吊り上げ、尚代の顔は、凄みを帯びていた。
 男は再び、二本の指を遠ざけた。
「あっ、やめないでぇ」
 恥ずかしくも大きな声で訴える。無意識に腰が蠢き、指を探し求めている。
 男がチョンチョンと軽く触れ、刺激を再開する。
「あっ、いいいぃ……」
 しかし、僅かな時間触れた後は、またサッと離れる。
「ひ、ひどい……も、も……もうすこぉしなぁのぉ」
 再び指が尖りを襲い、快楽の世界にのめり込もうとすると、また離れ、現実の世界に引きも出される。激しく精神が揺さぶられて、口に出す声に狂気が混じってくる。
 男が満足そうに、また男が触れてくる。
「あうっ……いいのぉ……止めないでぇ……」
 だが、また離れる。
「そ、そんな、……いやぁ!」
 快感を呼び込んでおいて、フッと蹴散らす。その度に尚代の意識が陶酔と現実の二つの世界の間を行き来する。
 顔がのけぞり、こらえようのない欲望あやつられ、足の指先がもどかしそうに動いている。
「ねぇ、途中で止めるの、これでおしまいよ……ねぇ、……お、おねがい」
 尚代の哀願を聞くこともせず、男は間欠的に指戯を繰り返す。
「あっ、いやぁ。ねっ、は、早く……」
 ついに尚代は、なまなましく、激しくむせび啼くようになっていた。
 男の目の前の翳り花は満開になって、おびただしい花蜜で覆われていた。
 だが、これがピークだったようだ。
 しだいに尚代の顔がトロンとして、言葉が少なくなって、意識も薄れてきていた。男の刺激にも少しずつ反応が弱くなっているのを感じてきた。
(限界かな?)
 男は、一気に強く攻め始めた。
「うううっ……いいっ……いいわぁっ……」
「さぁ、誰もいない。……俺と奥さんだけだ。思いっきり喘いで、叫んでいいんだぞ。……心ゆくまで女の歓びを味わうんだ」
 男の指の刺激を一瞬たりとも逃さないで喘ぐ尚代には、すでに男の声が届いていなかった。
 女の尖りを執拗に責められ、燃え盛っている炎を納めるには、もう、燃え尽きる以外、方法はなかった。
 尚代は、全身の震えに酔いながら、揺らめきのまにまに、めくるめく歓喜の啼き声を心の底から存分に上げていた。
 最後に喉の奥から獣のような低い啼き声で到達の印を叫んで、ガックリと緊張が解けていった。
 ベッドに突っ伏して動けなくなっている。髪の毛が汗で額に貼り付いて、薄めを開け、ハアハアと苦しそうな息をして、鼻孔が全開になっている。狂人の死に顔のようだった。

 尚代は、女の秘密があばかれ、隠すものが何も無くなり、放心状態になっていた。
 夫の前でも、行為の後は恥ずかしそうに身体を隠してしまうが、今の尚代は、手足を拘束されていなくとも、すべてを男の目の前にさらけ出してしまうことに何の抵抗も感じなかった。 
  
 まどろんでいた尚代は、いつの間にか仰向けになっていた。部屋の明かりが常夜灯から明るい照明にかわっていた。
 チャキチャキという聞き覚えのある音で、しだいに頭が冴えてきた。



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