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横浜発 7:54
【女性向け 官能小説】

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「さくらちゃんの事はずっと電車の中で気になってたんだ」
「・・・」
「だから、あの日。お疲れさまと声を掛けられて
一瞬びっくりしたけど、すぐにさくらちゃんが『誰だか』分かった」

「もし、今日1日一緒にいてこれからも会っていいと思ったら
俺と付き合ってほしい」
「・・・・」
「もし、ダメだったら俺が電車を変えるし二度と会わないよ」
「・・・・」
「だから今日1日、最後までチャンスを頂戴」

矢野さんはあのさわやかな顔で、笑うこともなく
茶化すことなく、
きれいな顔で、多少のテレを隠すかのように視線を合わせずに
前だけを向いて一気に言った。

「はい」

そんな矢野さんに可笑しくなる。

お姉ちゃんの話だと、会社ではかなりやり手で
広報のやり方は、正攻法というよりは、相手の裏をかくという感じらしい。
会社の女の子がいくら誘っても
冷たく相手にしないらしく
カッコいいけど憎らしい。そんな形容詞が合うオトコ。

あんた気をつけなさいよ―――

お姉ちゃんは笑いながらそう言った。

社会人ひよこ組のさくらなんか、簡単に騙されちゃうわよ。
ふふん。と笑って今日のデートを見送ってくれた。

なのに。
そんな会社の顔を知らなければ
この人は純情なんじゃないかと見間違うほどの態度で
今日の俺を見てくれという。

そんな可愛さに惚れそうになる。



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