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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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旅行-4

その週の土曜日。

ちづるは朝の7時すぎに
家を出る事をタクミに言うと、
タクミも午前だけ学校がある為、
一緒に駅まで行く事になった。

外は、晴れていた。

2人はそれぞれ自分の家で支度をして、
市営住宅の外の自転車駐輪場で
待ち合わせる。

タクミが先に外で待っていると
すぐにちづるが外の階段を下りてきた。

水色の旅行鞄を持ち、
ドット柄の黒いジャンパーに
Gパンにスニーカー。

髪型はおだんご頭にしている。
いつものちづるの姿とは違い、
ラフな動きやすそうな服装だ。

「おはよう。」と、声を掛け合うと、
2人は駅に向かいながら話す。
タクミが言う。

「晴れてよかったね。」

「うん!
てるてる坊主作ったからかなー。」

「え? 作ったの?」

「ふふ、、 う そー!
 作りそうって、思った?」

「、、、思った。」

「ひどーい。」

ちづるがあはは、と笑う。

旅行に行く楽しさからくる
テンションの高さを感じると、
タクミは少し
面白くない気分になった。

しばらく黙々と歩いた後
タクミが言う。

「新宿から、だよね?」

「うん。
新宿から箱根へロマンスカー!」

「、、 CM みたい、、。」

  っつーか

   本当  楽しそう 

「箱根って結構近いのに
行った事ないなーって思って。
なんか急に楽しみになってきて
昨日は眠れなかったよ。」

「ふーーん、、。」

「写真、撮ったらラインで送るね。」

「、、なんの写真?」

「んーーと、
どっかのミュージアム?とか
 行くみたいだから、、」

「ぁーー。風景とか?」

「うん。」

「んーー、、
それより、浴衣姿がいい。」

「 え?」

「旅館の浴衣ー。
  着るでしょ?」

「えーー? 
そんなの、つまんないよー。
でも、うん、、じゃあ
 料理と一緒に撮ってもらうね!」

「うん。」

2人は駅に着いた。
北口の外の2階のエントランスは、
サラリーマンや学生の姿があるものの、
平日に比べると少ない。

タクミが
ファーストフード店を指しながら言う。

「俺ここで
コーヒー飲んでから行くから、、。」

「あ、そっか。
まだ早いもんね。
なんか、
付き合わせちゃってごめんね。」

「んーんー、、、。」

「じゃあ、私行くね。」

「、、。
 ねーー、ちづちゃん、」

「んっ?」

「抱き締めていーい?」

「っ!? 、、 もちろん 」

「、、、駄目?」

「はい。駄目です。」

「ふふっ、だよね。」

「 ふふ、、 」

「気をつけてね。」

「うん。
行ってきます。」

ちづるはそう言うと、
改札に向かって歩き始めた。
改札に入る直前に
タクミの方を振り向くと、
まだ見送ってくれている。

ちづるは微笑んで手を振って
改札に入りタクミの視界から消えた。
タクミが呟く。

「 け ちーー。」

タクミは
ファーストフード店に入り、
学校に行くまでの時間を潰した。

それから、いつものように
電車に乗って学校へ行く。

電車に乗り、ふと顔を上げると
中吊り広告が視界に入る。

【新宿から箱根へ。
  ロマンスカーで。】

「、、、っ はーーー。」

  今は やめてよ

 まぁ 一泊だし

  そう 一泊 だ 

 、、 、なんか長く感じそう
   

 っつーか あれか

  やっぱり

  俺のが ハマってんのか ?



タクミは電車から降りる前にも
ため息をついた。


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