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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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週末-1

「今日、カラオケ行かない?」

午前中だけの授業を終え、
学校から最寄り駅までの帰り道。
タクミは友達2人と下校中に
友達の1人、健からそう誘われた。
タクミが答える。

「あぁ。
行こっかなー。誰来んの?」

「まだ誘い中だから分かんない。
流れる可能性もあり。」

「そっか。」

「でも、卒業近いし
遊んどくのは今でしょ。」

「まーねー。」

タクミと健が話していると、
もう1人の友達、恭助がタクミに言う。

「タクミも来れる?
今日は秘密の彼女とは会わないの?」

タクミは周りの友達には誰にも
ちづると付き合っている事は
言っていない。

昔から自分の恋愛を
細かく友達に言うタイプではなかった。
周りもそれを知っていた。

たまに冗談まじりに
『秘密の彼女』と
言われる事が、こんな風に
あるだけだ。

「うん。今、旅行中。」

タクミが答えると恭助が言う。

「ふーん。
だからタクミ、
今日元気なかったの?」

「え? 俺、元気なかった?」

「なんか、、
朝からため息ばっか
 ついてなかった?」

「、、そーかな、、。」

2人の会話を聞いて健が言う。

「恭助、
そういうのよく気がつくねー。
 長期旅行なの?
 タクミがへこむのとか、
    なんかウケる。」

「え? 
   、、、1泊旅行。」

「、、、。」

「、、、。」

健と恭助は少しの間、黙る。
健がポツリと言う。

「1泊で寂しいのか。」

それを聞いて恭助がプッと笑う。
タクミがムッとして言う。

「寂しいって訳じゃないんだけど。
なんか、、
 落ち着かないってゆーか。」

「男も一緒の旅行、とか?」

恭助がそう聞くと、
タクミは眉間に皺をよせる。

「ん、 まぁ、、。
そんなとこ。
職場の人達と、
箱根まで行くらしいんだけど
      なんか、、 」

「 ?」

「隙が多い人だから。」

「ふーーん。」

健がタクミを見る。
3人は駅に着き改札を通り、
駅の中の階段を上りながら
健がタクミに言う。

「なんか、いつもと逆だね。」

「 ?」

「いつも付き合って
しばらく経つと、
逆のパターンで
こじれたりしてなかった?」

「え、俺? 逆って?」

「束縛されたり。」

「あーー。うん、、。
 りさちゃん、とか?」

「そーそー。
  他も、、色々。」

「そんな事もありましたねー。」

3人はホームで電車を待つ。
タクミは空を見上げた。
寒空だが雲1つない、快晴だ。
箱根も晴れてるだろうなと想像する。
すぐに電車が来て3人は乗り込む。

電車の中で、夜遊ぶかどうか
きまったら連絡する、
と健はタクミに言う。

T駅に着くとタクミと健が降りて
恭助と別れた。

その後、健とも駅で別れた。

駅から家までの帰り道、
コンビニに寄って弁当を買う。

家に着くと、テレビを見ながら
自分の部屋でそれを食べる。

食べ終わるとスマホを見るが、
メッセージは入っていない。

少しだけ、いじけたような
気持ちになりながら
タクミは制服を脱ぎ、
洋服に着替えた。

ベッドに横たわりながら漫画を読む。
しばらくすると、
ウトウトし始め寝てしまった。

しばらく眠った後に目を覚ますと、
テレビから毎週土曜日にやっている
料理番組が流れている。
天井を見ながらテレビの音を聞く。

「、 、 、、。」


     夕方、 か 


その時。
玄関のドアから鍵を差し込む音がした。


「、 、 、、。」

 ぇーー?

  面倒くさいのが
    来ちゃう 系??
 

勢いよくドアが開く音と共に、
かん高い声がタクミの部屋に届く。

「タクミーー!!?
ただいまー! いるー!?
お寿司、買ってきたー!!」

「、 、 、 。」

 声 でけぇな 

   なんか

 嫌な予感しかしない


「、、いるよー。」 


ドタドタと歩く音は、
タクミの部屋の前を通過し
キッチンへ入ったようだ。

気だるそうにタクミは起きると、
部屋を出てキッチンへ行く。

久しぶりに母親が家に帰ってきた。

タクミは
派手なライトパープルの
服を着ている母親の背中に話しかける。

「寿司?」

母親はゆっくりと振り向く。
タクミは顔を見て言葉を失う。

「、、、 、。
  その顔で電車乗ったの?」

「、、〜っ、 、」

今にも泣き出してしまいそうな
酷い顔だ。
1度泣いたのだろう。
マスカラが落ち、
目の下が黒い。

「お前なぁ、、。
 っ はーー。
電車乗る前に鏡見ろよ。」

「お前って言わないでよ!」

「あー。母ちゃん。」

「母ちゃんは嫌!
 マリって呼べって
 前に言わなかった!?」

「、、、マリって誰だよ。
   としこだろ。」

「としこは嫌なのっ!!
もう、うるさいよ!タクミ!」

「、 、 、、。」


 うるさいのはお前だ

  帰ってくるなり
    テンションたけーし

 酒入ってんなー これ


「喧嘩したの?」

「〜っ!! 
 もう、、! 別れるっ!」

「、 、、。
  寿司食っていい?」

「〜っ、、 〜っ、」

「、 、 、、。」

  あぁ 

 今週末の俺
       
  なんか 可哀想 


タクミは、
テーブルの上に置いてある
ビニール袋から寿司を取り出す。


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