う-7
ベッド以外何も置いていない部屋で
冷たい空気の中、吉野さんのトワレがほのかに匂っていた。
「麻子、退職願って・・・」
「ほんとよ」
そう言った私に一瞬呆れて。
あっはっは。と声を出して笑いながら私を抱きしめる。
「俺が本気でセフレだと思ってたら、どうする気だった?」
「さぁ?UKに追いかけて行って、1から恋を始めましょうって言う。
惚れた男だもの。とことん追いかけるわ」
「うん。それでも良かったな」
そう言いながら、嬉しそうに私を自分の体の上に乗せた。
「ねぇ・・・なんで、私が終わりにしようって言った時にあっさり帰ったの?
本気で、終わりにしようと思ったの?」
1週間、ずっと気になっていたことを恐る恐る聞いた。
「まさか。もう麻子とは離れられないと思った。
どうにか話し合って、すぐには無理だったとしてもいずれUKに一緒に
転勤してくれるように頼もうかと思った」
「ならなんでっ!」
「麻子、あの時は俺が何を言っても突っぱねただろ?
女性は感情が高ぶっている時に何を言ってダメだからなぁ。
逆に何かを言うとこじれちまう」
なんて分析する。
「・・・・」
「半月経てば、気持ちも落ち着くかな?と思って」
と涼しい顔で言った。
「まさか退職願を出すとは思わなかったけどな」
と笑いながら言った。