う-4
「あんな形でセフレと言ったのは、
お互いにどんな別れになるか分からなかったから。
3カ月という短い時間の中で、期限付きの付き合いなんか出来ないと
断られないように、弱みを握った」
「でも!セフレなんかじゃない付き合いをすれば。
その後、二人でその先のことを考えるかも知れないじゃない」
少し怒ってそう言えば
「俺は・・・たぶんあと数年、横浜HDとの入社時の契約を履行したら退職する」
「う・・・ん」
「自分の会社一本になる。そうなったら収入が約束できない。
サラリーマンのように麻子に安定した生活を約束できないんだ」
「・・・・」
「付き合ったとして、3カ月の女性にその選択を求めるのは酷だと思った。
遠距離は出来ない。収入も約束できない男との将来を
たった3ヶ月後に選択を求めなきゃならない。
日本に帰ってくる保証も約束できない」
初めて。自信のないような笑い方をした。
「見くびらないでよ」
「え・・・・」
「私は安定した生活が欲しいから結婚するんじゃないわ」
「・・・・」
「それに。あと数年は、横浜HDに在籍するんでしょう?」
「あぁ。システムが順調に動くのを確認するまでは契約期間だ」
「その期間、私を養って頂戴」
「え・・・」
「その間に、英語を仕事ができるレベルまでマスターするわ。
もちろんUKでね!」
「・・・・・」
「そうしたらその後、吉野さんがどんな収入だろうと、
私が吉野さんを養えるだけの職に就いて見せるわよ」
そう強気に言う私を見て、吉野さんは大笑いした。