う-3
「全部聞いたなら話は早いか・・・」
吉野さんは穏やかに話し始めた。
「俺に遠距離恋愛は無理だと思う。俺はシステム開発を始めると
きっと時間を忘れる。こまめに時差を考えてメールとか電話なんか出来ない。
別れるのは目に見えてる。
それに・・・仕事の全てがモニター越しで。好きなオンナまでモニター越しは嫌だ。
付き合っている限り、ぬくもりを感じたい。手に触れたい。キスをしたい。
好きなオンナは3次元に感じたいんだ。
だから・・・麻子とはこの3カ月だけでもう、きっぱり終わりにしようと思った」
「・・・・」
「麻子のことは前にも言った通り、大学の時から知ってた。
男の間でよく話題に上ってたよ」
そう言って懐かしそうに苦笑いをした。
「その子が同じ会社に入ってきて、大学時代とはイメージがまったく違った。
大学時代は男と遊ぶような印象だったのに
会社での麻子は、誰とも付き合っている感じじゃなく
仕事一筋だった。驚いたよ」
よく・・・私のことを見てる。
「目で追って、淡い好きだという気持ちを持って。
それでもUKに行くことが確実に決まっている俺は、
別に付き合いたいとは思わなかったんだ」
うん。
「でも、例のプロジェクトが始まって。
本当にUKに行くことが目の前の現実になると、最後に接点が欲しくなった。
そこで、強引に麻子をメンバーに加えたんだ」
そうだったの。
「だけど。麻子と一緒に仕事をして、麻子を知れば知るほど
もっと近づきたいと思った」
「・・・・」