始-4
私は、いつだって―――
好きになる気持ちは、生まれちゃいけないところに生まれる。
オトコの事で後悔した事もあるし
未練が抜けきらない恋もしてきた。
人に褒めてもらえないような恋もしたし
ずるい恋だってしてきた。
でも。
こんなに泣いたのは初めてだ。
こんなに悲しい別れは―――初めてだ。
吉野さんは、いきなり現れて。
あっという間に私の心に住みついて。
そして。いなくなった。
普通の恋人だったら、
告白するとか、デートをするとか。
そしてもっと愛し合うとか。
色々夢を見て、将来を夢見るんだろう。
けど、吉野さんはそのうちのどれも私に許してくれなかった。
始めから、セフレという言葉の裏で
好きになるなと釘を刺されていたような気がする。
確実に、目の前からいなくなる男。
そんな男を好きになるなんて。
私はバカだ。
「でも、それでも好きになっちゃったんだもん!」
誰もいない部屋で泣きながら叫んだ。