を-4
「麻子」
ゆっくりと置き上がってそして私にキスをする。
「帰るよ」
それは、行為さえ終われば用はないとばかりに。
ココにいる必要性なんか1分もないとばかりに。
ワイシャツを着る吉野さんを私はベッドに横になったまま
じっと見つめた。
そのまま、食べ終わったお弁当の容器を
持ってきたコンビニの袋に入れて。
「ビールのカンは・・いいかな?」
と、やっと私に振り向いた。
「お弁当の容器も捨てておくよ」
そう言う私に、
「いや。帰りがけに捨てて行くよ」
そう言う吉野さんは
自分がいた形跡をここに残したくないのか、
それとも私が吉野さんのために何かをするのが嫌なのか・・・
そんなにセフレって関係に線引きするの?
気持ちが入ってないセックスは気持ち良くないって言ったのは誰よ!
と心の中で叫びながら
「着替えるのめんどくさいから、玄関まで送らないわよ」
と、強がって言う。
「あぁ・・・」
「鍵は締めたらエントランスのポストに入れておいて」
「それじゃぁ、麻子が取りに行くのめんどくさくない?」
「もう1つあるから大丈夫」
そう言った私を無言で見つめた。
「なに?」