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BLOOD LINE
【女性向け 官能小説】

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2-2

結子は髪を後ろに束ね、Tシャツとラフなパンツ姿だった。
シャワーを浴びた後なのか、髪がまだ濡れている。乾かしたほうがいい、と言うとドライヤーの音が嫌いだからいつもこのままだと言った。
スイカを渡すと「ありがとう」と受け取り、狭いキッチンで切り分け出してくれた。
「通勤0分か、うらやましいよ」
「ママが母の友達なのよ。だからただで住まわせてもらってるの。テナント料払ってるから、空けておくともったいないからって」
小さなTVと組み立て家具がある。壁際にパイプのシングルベッド。ベッド下のスペースに衣装ケースが二つ。
「熱は?」
「下がったみたい。計ってないけどね」
と、自分の額に手を当てる。きっと夏でも彼女の手は冷たいんだろうな、と思った。
「吸ってもいい?」
マルボロを取る。
「どうぞ。でも、病み上がりは止めておいた方がいいよ」
「落ち着かないのよ」
たいして美味くもなさそうにタバコを吸った。
「富岡さんは吸わないの?」
「もう3年くらい前に辞めた。女房が嫌いなんだ。止めてくれってずっと言われてて、とうとう根負けした」
あはは、と結子が笑った。
「倉田さん。彼のことなんだけど」
結子は表情を戻し、タバコを灰皿に押し付けた。
「お客さんから聞いたわ。退役だってね」
「連絡は?」
首を振る。
「最後に会ったのが6月くらいだから、もうふた月くらい話してないのよ」
「ショックだったろ?」
結子は首を少し傾け、やがて「わからない」と答えた。
「やっぱりって気持ちの方が強いかな。もし、日本に残っても私とは終わりだったと思うし」
今回は被害者にも落ち度があったことが、更にジョンソンには有利に働いたのだと話した。
「私のことより、その子を心配した方がいいわ。小学生からそんなことをしているんじゃ、きっと家もめちゃくちゃなんじゃない?私はどうにだって出来るけど、その子はこれからが大事でしょ」
「被害者に済まないと思ってるの?」
結子はスイカを一口かじった。シャリっと軽やかな音がした。
「スティーブがレイプしたのは本当だと思う。でも、その子も嘘をついて近づいたのも本当。下っ端の兵隊さんは給料も安いのよ。ベースの中なら何とかなるけど、外で遊ぼうと思うとね。お小遣い程度で若い子を抱けるならって思ったんじゃないかしらね」
バカな男、とつぶやいた。
ジョンソンは孤独だったのか、と尋ねると「たぶんね」と言う返事が戻って来た。やはり記事にできるような話は聞けないようだ。
いや、それは初めからわかっていた。富岡は倉田結子が心配だったのだ。
彼が一言もなく本国へ帰ってしまったことに心を傷めているのではないか。もしそうなら、気の利いた言葉のひとつもかけてやりたい。
「元気そうでよかった」
つい本音が出てしまい慌てて首を振った。


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